学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-093/222page
(2) 問題行動の事例から
非社会的な子供の代表的な例である引っ込みがちな子供について,その現れ方を考えてみたい。
引っ込みがちな子供の特徴は,思うことがうまく言えず,友だちと争うことを極端にさけ,集団でことをなすことに気おくれてしまいやすい。また,強い劣等感の持ち主で,人前に出ることにひけ目を感じ,できるだけ目立たない行動をとろうとする。
1) どのような原因が考えられるか
ア こじれた欲求不満
欲求不満からくる不適応状態であるが,愛情への欲求,承認の欲求など,適度に満たされないために,情緒的に緊張し,不適応をきたし,集団活動不参加という行動で,引っ込み状態に陥る。
イ 強い劣等感
自分自身への過度な関心と偏見が,緊張を出現させることがある。自分の容姿,健康,能力,対人関係などに強い関心をもち,それが違和感,劣等感になってあらわれると,意欲や自信を失い,引っ込んでしまうことが多くなる。
ウ 誤った養育態度
親の養育態度から考えると,溺愛,過保護に育った子供は,保護のない立場におかれると,強い不安におそわれ,自分に都合のよい理屈をつくって正当化し,自分のおかれている立場から逃避し,引っ込みの状態になる。
2) 指導にあたって
ア あたたかい態度で接する
外側からみると,引っ込み,口をきかないなどは,一見,他人とのかかわりをさけたり,拒否したりしているように思われるが,内面では,大きなかっ藤や不安を抱いている。対人関係の自信のなさから,必要以上に防衛的になったり,自分のからに閉じこもったりすることが多いので,あたたかい態度で接し,固い心のからを解くようにしたい。
イ 自信をもてるように