学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-099/222page
(2) 子供の特徴と心理機制
1) 口もきかず行動も抑制的で,おどおどしている。緊張感が強いと発汗することもある。
2) 集団にうちとけず,表情や態度が硬く,動作にぎこちなさがある。
3) 授業中じっと座っているだけで,体育の参加やノートとりなどもしなし。
4) 休み時間でも,うろうろしているだけで,友人との遊びに参加しない。
5) 心理的な圧迫を感じると緊張が強く,体が硬直する。
以上のような行動特徴が見られるのは,しゃべらないことによって,心理的な安定をはかっているためであり,それは,次のような防衛機制が働いているからだと考えられる。
1) 体がこわばって,硬くなったり発汗して心理的に緊張しているが,その緊張を硬直という形で守り,自分の内なるものを守り続けようとする。
2) しゃべらないことで相手を困らせ,自分を守ろうとする行動をとり,攻撃しようとしている。
3) 緘黙することで,自分の心の状態を見せまいとしているが,周囲のようすはよく知っており,無表情をよそおうことによって自己安定をしている。
4) 知的,身体的劣等感を緘黙することで解消しようとしている。
5) 新しい経験を取り入れることに不安を感じ,不安解消の手段として,すでに学習した生活様式を守り続けて安定しようとする。
このようにして心理的安定をはかり,自分の世界を守りきっているものと思われる。
(3) 原因
場面緘黙の一般的な発症原因を調べてみると,次のようなものがあげられる。
1) 知能が低いため,学業成績がふるわず,強い劣等感に悩まされ,集団場面に適応できないでいる。
2) 生活経験の貧困から,精神発達がおくれ,集団に参加する技術が未熟