学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-100/222page
になってしまって,不適応をきたしている。
3) 吃音,肢体不自由などの身体的なものが原因になって,心理緊張がはたらき,集団場面に適応できないでいる。
4) 放任や,溺愛,厳格,拒否といった養育態度のまずさにより,自我の未成熟をまねき,集団の中で不安や緊張をたかめている。
5) 極端な社会性の未発達,内向的な性格,憶病などのために,集団参加に不安を感じている。
6) 過去に笑われたり,恥ずかしい思いをした等の心の外傷によって,話さないことで自分を守っている。
以上のような原因が考えられるが,これは,独自に存在するのではなく,それぞれが複雑にからみあって,緘黙状態をつくっていることが多い。
(4) 指導(治療方法ち
緘黙の指導は,多くの場合,きわめて困難をともない終結までに長期を要することが多い。一般的には,次の指導が考えられる。
1) 個人遊戯療法
これは母子関係の障害からくる情緒不安を解消し,遊びを通して,過去の悪いイメージを修正し,健康的な人間観を成長させる。
2) 親のカウンセリング
親子関係を改善し,子供に共感できる態度をつくり出す。
3) 学級内の人間関係の調整
担任教師の働きかけによって,学級内の人間関係を調整し,学級への適応をはかる。
以上のように,本人への指導だけでなく,親や学級担任の本人への働きかけも重要になる。指導の経過については,病状の面から考えると,
ア,「ラポート形成期」→ イ,「行動化期」→ ウ,「発語期」と進むのがふつうである。その際,留意すべきことは,
1) 家庭では,
○家庭からの圧力をなくしてやる。
〈言ってはならない言葉の例〉