学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-113/222page
(2) 家庭内暴力をおこす子供の性格
○ 家庭外にあっては温和,従順,すなおであるが,積極性,自発性,自律性に乏しく自信がなく引っ込み思案である。
○ 未熟な自己中心性がみられ,見栄っばりで,顕示性も強く,過敏,神経質なこともあって,気にしたり,傷ついたりしやすい。
○ 他人との相互関係をもつことが下手なため,友人関係は少なく,孤立的である。
(3) 家庭内暴力をおこす子供の心理
○ 直接のきっかけは何かあるにせよ,意識的な目的的行動として行われるのではなく,だめな自分のやりきれなさ,不安,いらいらを自分でどう処理してよいかわからず、暴れることによって発散しようという気持ちと,そのような自分に育てた親に対する反抗の気持ちの二面がある。
○ 第二次反抗期にみられる真の自立への反抗ではなく,幼児が甘えながらすねているようなもので低次元のエゴイズムに止まっている。
このことは,京都大学河合隼雄教授(心理学)が,著書「母性社会日本の病理」の中で,「両親に当たり散らしながら,両親に依存し,無意識に母になるものの甘えに支えられ,父性原理による自我の確立を前提としない低次元のエゴイズムにとどまっている」といっている。
(4) 家庭内暴力をふるう対象
○ 心理的距離が近く,本人を最もよく世話してくれる人である場合が多い。(ふつうの場合,母親もしくは祖母のケースが多い)
○ 暴力をふるう本人は,選択能力をもち,からだでのポイント(どの部位を殴るか,けるか),器物を投げる場合は,投げる物を考えたり,暴力をふるう対象の人が最もだいじにしているものは何かなどを考えて行う。なお,冷静な時には,十分に反省する能力は持っている。
(5) 家庭内暴力と登校拒否
○ 登校拒否をしている児童生徒の中では,特に中・高校生の場合,恐怖かつ型,葛藤型による拒否性が,親,教師,友人等から登校刺激が加えられた場合に暴力をふるうことが多くみられる。