学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-118/222page
総合的な解釈
ア 自分の感情を勝手に相手に押しつけ解釈しようとする一方通行の堅い人間関係になりやすい。
イ 体面を傷つけられることを恐れる見栄っ張りな特徴がみられる。
ウ 欲求不満耐性がきわめて乏しく,気分の変わりやすい万能的な自己中心性がうかがわれる。
エ 自分の力で確実に支配できる対象へむけて,自分の挫折感を衝動的に攻撃的な態度で転化発散する。
オ 心理的外傷経験による愛情欲求への固着点に退行している。
カ 母親の安定した養育を得ることができず,情緒的絆が形成されなかったことにより情緒の発達が阻害されている。
(5) 診断
1) 幼少期における安定した養育関係が得られず,肯定的な自己存在感が確立していない。
2) 養育態度に多くの問題があり,望ましくない親子関係が自我の未熟,未発達,精神的な脆弱さを生じさせている。
3) 不登校時の登校刺激に対する反発と,退行としての同胞嫉妬から暴力行為をおこしている。
(6) 指導方針
1) 本人に対して
ア 情緒的な発達をうながし援助する。
イ 受容的態度で接し,自己及び自己の行動について洞察させる。
ウ 実践可能な目標を設定させ,節度のある生活のリズムと責任を体得させる。
2) 母親に対して
ア カウンセリングを通して,母親自身の情緒の安定を図る。
イ 本人に対する接し方の問題点を,母親自身の生活史の中から考えさせ,養育態度の改善につとめさせる。
ウ 母親自身が子供に,ゆずれない「強さ」を実感させる。