学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-149/222page

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も,すぐにはじめることができる。

〈短所〉

 ○ 事例の総合的な理解があいまいなままに,カウンセリングが続けられる危険性がある。たとえば,精神科医に受診させる必要がないのか,脳障害その他の器質的な疾患はないか,この事例の解決にカウンセリングは有効かどうかなどの確かめが十分なされない場合がある。

 ○ 事例の進行過程で,原因診断などを客観的に伝えにくく,時として,ひとりよがりの活動になりやすい。

カウンセリング的方法で特に注意したいことは,事例の理解があいまいで,なぜよくなったのか,あるいは,よくならないのか,解決のためにどう役立っているかなどの吟味がなされないままに進行し,時間がかかってしまうことが多いことである。このことは,カウンセラーとしての熟練度にかかわる問題点であると考えられるので,カウンセラーの態度について反省をしなければならないと思う。

事例研究において重要なことは,事例の総合的な理解と,相手とのカウンセリング関係を樹立したなかでのなまなましい感情の理解とが織りなさされて,相手の変容につながっていくようにしなければならない。つまり,臨床的・客観的な方法とカウンセリング的な方法の上手なミックスを図ることではないだろうか。

3,事例のかき方の一例

1 主訴

何が問題なのかを端的に表す。

2 対象

氏名,満年齢(生年月日も記すこと),性別,学年,学級等事例研究(会)では通常氏名は匿名にし,仮名を使い,個人のプライバシーを守るようにすること。

3 問題の概要

特定個人の問題(あるいは事件)に関連する諸事実について,その


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