学級担任・H・R・Tのための学校教育相談入門-155/222page

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ままに,しかたなく発言するという内容のうすい事例研究になってしまいやすい。

 4) いろいろな意見の中から,少数意見も大事にし,正しく受けとめていかなければならない。そのことによって,疎外感はうすらぎ,次回の研究会参加の意欲も高まるであろう。

 5) 肉体による言語的表現(ボディ・ランゲージ)といわれる言葉にあらわれない表情・態度・姿勢などに注意をむけたいものである。ひと言も発言しない人でも,参加の態度として,傾聴している人もいる。このような人に対しては,無理に意見を求めようとしなくてもよく,会が終わってからでも個人的にでも,意見をきけばよいのである。

 6) 短時間の間に,無理に意見をまとめさせようとあせってはならない。司会者としては,きちんとまとめないと研究会は成立しないという錯覚におちいってしまっては,「研究会はやりました。内容はありませんでした」になってしまう。

協議をまとめるにあたっては,さまざまな意見を形式的にまとめるのではなく,話しあったうえで,残された複数の意見をそれぞれ生かして,現段階ではどのような方法がもっとも望ましいかを導き出すようにしたい。従って,指導方法も画一的でなく,いくつか異なった方法を有効に組み合わせるように努めなければならない。そして,学級担任,H・R担任,教科担任,生徒指導担当者など,それぞれの立場で,役割にふさわしい分担で,解決のための努力をしたいものである。

5.事例研究会の問題点

この章のまとめとして,問題点と考えられることを列挙し,解明のための糸口に供したい。

(1) 参加への呼びかけ方や,参加者の構成・範囲に問題はないか

最初は,生徒指導担当者のグループではじめるのがよい。この中で効果をあげることによって,徐々に全教師の関心を高め,参加意欲を高めていくことが必要であり,口で必要性を説くよりも,実証によって意義を知らせることが重要なのである。


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