親と教師の教育相談室-072/201page

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71.暴力をふるう息子
【問い】高1の息子ですが,自分の気に入らないことがあったりすると暴力をふるいます。学校ではとても素直とのことですが,先週も「なんでオレを生んだんだ」といって暴れ,窓ガラスを割りました。ノイローゼになりそうです。

【答え】結論からいいますと家庭内暴力のようです。この特徴は1)家庭内だけで乱暴する2)その乱暴は母親に向けられることが多い3)学校では勉強ができ,いい子である4)非行的要素が外では感じられない…などです。お宅の子どもは以上のどれにも該当しているようです。
家庭内暴力は,家庭内の人間関係の動きが一番問題になってきます。すなわち1)母親のでき愛によって子どもの欲望統制の能力が弱くなっている2)過保護によって強い依頼心を身につけてしまった(自主性の発達遅滞)3)父親の人格的権威,厳しさの欠如から子どもが生きる方向づけを失っている…ことなどがからみ合い,なんらかの挫(ざ)折感を受けたことが,きっかけとなって発生するものです。
子どもは思春期以後は自主的に決定しなければならない状況が多くなり,決断を迫られると強い不安状態に陥ります。しかし自立心が育っていないため,その不安を親に暴力を振るうことによっていやし,支配感を味わい,自立しようと努力しているものです。
対策としては1)自主性の発達をうながすこと2)欲望統制の能力を育てること3)父親の権威を取り戻すこと…が要求されます。それには覚悟を決めて子どもの暴力に耐え,それに立ち向かうことが必要です。どうしても不安なときは精神科医に相談することが妥当かと思います。15年かかってできた問題は,15年かけて治す覚悟で取り組んでください。


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