親と教師の教育相談室-091/201page

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89.公共の場でのよその子への注意は
【問い】公共の場所で,よその子の気になる行いを見るにつけ,注意してあげようかな,それとも,おせっかいかなと一瞬ためらってしまうことがあります。そんな弱腰ではと思うのですが。

【答え】私たちは他人の子に対しては,どうせひとごとだものと,自分にかかわりのないことには無関心のようです。欧米では,見知らぬ他人とのふれ合いの中でも,いましめ合いながら公徳心を高めている様子を耳にします。パリのある公園を歩いていると,ひとりの男の子が池に石を投げて遊んでいました。それを見た労働者風の人が,その子のそばに立ってさりげなく語りかけました。「君は1つ2つの石と思うだろうが,どの子もみんなそう思って投げこんだら,どうなるのか,やがて,この池は石で埋まってしまうのではないか」と…。私たちは,とかく自分の子には,きびしいしつけをしますが,よその子には見て見ぬふりをし,批判的にその場をのがれてしまうところに問題がありそうです。先日,乗り合わせた電車で数人の小学生が,周囲にとんちゃくなくはしゃぎ,しかもズックのまま座席にすわり,ふざけっこを始めました。すると,隣り合わせた青年が立ちあがり,何か話しているようでした。急に静まった様子から察すると,そのことに対する注意だったのでしょう。別れぎわに,にっこり声をかけ,子供たちもそれにこたえている姿に接し,一服の清涼剤ともなりました。この子供たちも,やがて,おとなになり,あの青年のような行為ができることを期待しながら,見送ったのでした。子供は生来,いたずらっ子です。前の労働者風の人や,あの時の青年のように,さりげないあたたかい注意が,子供の公徳心を高めていく動機につながるものと思います。

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