親と教師の教育相談室-093/201page

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91.しかるときの注意は
【問い】中学2年の男の子ですが,最近,しかると急に反抗的になって,素直さがみられなくなりました。しかるときどんな注意が必要でしょう。

【答え】個人差がありますから,一概には言えませんが,小学校時代とは違い,中学生になると,自我の確立にむかう時期に入ります。つまり「自分は一体どういう人間なのか」という自意識から,一方で自尊心が強くなる半面,そのうら返しとして劣等感に悩む時期でもあります。大人と子どもの境目にあるという意味で,心理的・境界人(マージナルマン)とも呼ばれます。大人になろうと背のびする半面,大人の価値観に反発し,子どものころをなつかしむ気持ちもあります。また,性ホルモンの影響もあり,自律神経は過敏となり,感情の振幅もはげしくなっています。「子どものころの素直さがなくなった」といわれるのは,あなたの子どもさんにも,そういう青年前期の心理的特徴があらわれだした証拠で,それ自体なんら心配すべきこととは思われません。
あつかいにくい年ごろではありますが,子どもさんにとっては」悩み多き時期でもありますので,その点を理解し,子どもの心の成長を,さりげなく,しかし,注意深く,見守ってやることが大切でしょう。
このころの子どもは,しかられることを全く拒否しているかというと,そうでもありません。親や教師から,はっきりした人世の処世の方針を示してもらいたいという欲求もつよいのです。この年ごろの子どもをしかるときには,行為の外形や,言葉じりに,あまりこだわらないで,生活態度そのものを,また人生観において正すべきものを,確固たる態度でしかることが大切でしょう。男の子でしたらとくに,父親の真剣な生き方に学ぶところが多いでしょう。お父さんにも協力していただいて,生活態度でそのモデルを示してもらいたいと思います。

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