親と教師の教育相談室-107/201page

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105.家庭での望ましい読書環境とは
【問い】家庭における望ましい読書環境について教えて下さい。

【答え】家庭における読書環境が社会や学校における読書環境と最も異なる点は,社会や学校の読書環境が主として施設面の問題,いわば外回りの充実に焦点があるのに対して,家庭のそれは主として家族構成という内回りの人間関係にあるということです。とりわけ日常最も多く子供と接している母親の役割が決定的に大きく,子供を本好きにするもしないも,そのカギは母親が握っているといっても過言ではありません。
家庭の場合でも,経済的に許せば立派な読書室や文庫を作り,本を取りそろえることは可能ですが,これは,ごく限られた家だけのことであり,また,よしんばそれが可能だったとしても,それだけで子供を本好きにする保証はありません。
それでは,家庭における読書環境の充実とはいったい何なのでしょうか。とりわけ母親の役割は何なのかということになれば,なにをおいても,母親が読書好きであることでしょう。子供に向かって本を読め,読めとすすめる母親は無数にいますが,その母親自身はめったに本を読まないで,テレビにかじりついているようでは説得力など生まれるはずはありません。それより,ちょっとした暇を見つけては本に首っ引きの母親,子供のために買ってきた本をどちらが先に読むかで,本気で子供とけんかをするような母親,こんな母,親ならば自然に本好きになることは疑いなしです。子供の本に限らず,ひとりの人間として,社会人として,自分自身の楽しみとして本を読むことの魅力を知っていればいいのです。こうした意味での家庭におけるよき読書環境が子供のまわりに用意されれば,読書好きになるきっかけになることはまちがいないでしょう。

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