親と教師の教育相談室-196/201page

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193.ユーモアのある授業をするには
【問い】社会科の「のぞましい授業は」という生徒へのアンケートで「ユーモアのある授業」との答が一番多くありました。なぜ「ユーモアのある授業」が生徒に好まれるのでしょうか。

【答え】欧米の教育視察団が,日本の学校をみて一番驚くのは,授業中の生徒が静粛で行儀がよいことだそうです。授業中の生徒の態度が静粛であることが,授業を進めるにあたってもつメリット,デメリットについては議論のあるところでしょうが,少なくとも日本の学校における授業が,欧米のそれに比べかなり緊張度の高いものであることは事実と思われます。とくに高校の教師は自己の専門教科に対して学問的良心と自負をもつあまり,生徒に対しても厳しさを要求することが多くなりがちです。
生徒が教師の「ユーモア」に期待するものは複雑ですが,まずユーモアは生徒に一種のカタルシス(心理的解放感)効果をもつと考えられます。そればかりではなく,生徒はユーモアの中に,いわば教師の生きざまを「かいまみる」のではないでしょうか。その瞬間,生徒の心は開かれ,教師と生徒はともに人生を歩む同伴者となります。意欲とか「やる気」というのは,このような共感関係から生まれることが多いのではないかと思います。
ユーモアは厳しさの中に生きるので,いわば「こわもて」の教師が理想です。いまの高校生はユーモアにはかなりのハイセンスをもっています。「だじゃれ」では満足しないでしょう。教師が日常,人生や社会,人間関係に高い批評精神や温かい思いやりをもっていなければ,共感を呼ぶユーモアは生まれてきません。ブラックユーモアなどという言葉もありますが,ユーモアがグロテスクと結びつくことも用心すべきです。

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