理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-006/139page
2 理科2研究の進め方
理科2は,必修の理科1を履習した後に,選択の物理・化学・生物・地学の履習はしないが,理科の学習を一層深め,広い自然科学的な教養を身につけることを希望する生徒を対象にしており,広く身近な自然界に見られる事物・現象や科学的事例などの中から,適切な問題を見いだし,探究的な学習を通して,科学の方法の習得や問題解決の能力を養い,人間を取りまく自然環境について深い理解と認識をもたせることをねらいにしている。
この理科2の目標が十分に生かされるよう,理科2を担当する教師は,その目標や内容を十分把握しておくことが重要であり,また,生徒の実態,施設・設備や地域の実情を十分勘案して,授業の形態や指導計画の作成に配慮が必要である。
1 指導計画作成上の留意事項
理科2は,課題研究を中心とする学習形態がとられ,取り扱われるテーマも多種多様で,学習の場も広いことから,当初にしっかりした指導方針を持つことが重要であり,基本方針として次のようなことが考えられる。
ア 学習に対する楽しさや充実感・満足感が得られるようにする。
イ 探究的な学習態度を重視する。
ウ 年間を通して複数の課題研究を行う。研究課題のうち,学校が用意した課題についても研究させる。
エ 週当り2単位時間を標準とし,2時間連続の授業とする。
オ 研究テーマの選定,研究計画の設定,研究方法,使用器具の準備,実験・観察・調査の方法,研究のまとめなどに教師はよき助言者,相談相手として生徒に接する。
カ 学習活動の場として実験室の他に教室・特別教室・図書館・校庭などの使用や,課題によっては校外の施設の利用や野外観察の場が考えられ,教師は年間計画に従って学習の場の確保に配慮が必要である。また,野外観察地の設定にあたっては2時間内で実施できる範囲で場所をえらぶ。
キ 野外の調査で化石や岩石の採集にあたり,自然環境の破壊者にならないよう必要最少限にとどめる。
2 研究課題の設定と実施上の留意点
(1)研究課題の設定
理科2の特色から,研究課題として取り上げる内容は,科学の系統的な学習というよりも,自然科学の基礎的な理解と教養を深めるような内容で,探究的な学習活動を通して,よろこびや興味・関心を抱き,学習活動を通して充実感を生徒にもたらせるような内容であることが重要である。
理科2での学習内容は,次の3つの領域から適切な課題を選ぶことになっている。
1)特定の事象についての観察・実験
2)自然環境についての調査
3)科学の歴史的事例についての研究
1)領域での課題の設定に当っては,理科1で履習した内容の応用的な実験や日常生活に関する事項の科学実験などのうち,地域や生徒の実態を考慮して選定することが大切である。