理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-007/139page
2)領域での課題は,生物や地学に関する野外調査や理科1の「人間と自然」との関連で自然環境に関する諸問題を取り上げて科学的理解を深めさせる内容のもので,ともにテーマをしぼって研究の目的を明確にしておく必要がある。
3)領域での課題設定に当っては,単に科学史上の重要な事項を年代史的に羅列的に扱うことでなく,科学者が探求した過程を生徒に適切な資料,文献を与えながら体験的にたどらせることにより,科学の方法や問題解決の能力が育成できるよう,課題を選定する。
(2)実施上の留意事項
1)理科2を選択する生徒について
理科2は理科1を履習した後,更に,広い自然科学的な教養を身につけることを希望する生徒に対して設けられた科目であるが,第3学年で理科2を設けた場合に,第2学年で選択理科を履習した生徒で,なお理科2を希望する生徒も予想されるので,指導にあたっては,同一課題であってもそれぞれの生徒の基礎学力,興味,関心などに応じた助言・指導を行うよう留意する。
2)授業の形態
課題研究は個人又は数名のグループでとりくまれ,それぞれ年間数テーマの課題についての研究を行い,また,研究内容により研究期間も一致せず,課題によっては校外へ出かける場合もある。従って,授業は一斉実験の形態はとりにくい。そのため,教師は研究の進み具合を報告させたりして生徒の動きには十分注意を払い,全体の掌握に努める必要がある。
3)実験室や施設・設備の確保と事前調査
課題研究の学習の場は理科実験室・図書館・特別教室・校庭や,「自然環境の調査」では校外にと広範囲で展開が予想され,年間計画に従って教師間の理解・協力などについて配慮が必要となる。
〔理科実験室〕
理科2の性格から継続的な実験・観察が実施されるため,実験途中の器具や作品を保管する戸棚や机などが必要となろう。また,実験に要する器具を自作することも考えられるので,工具類や材料はあらかじめ準備しておきたい。
実験室や校地の状況によって,予定された実験を行うことが困難な場合もあるので,課題を設定する際に,あらかじめ実験内容に制限をつけておくこともやむを得ないであろう。
〔校外〕
野外調査で校外に出る場合が考えられる。教師はあらかじめ学校周辺で,研究に適する場所があるかどうか調査しておく必要がある。
特に,生徒が活動する場所に危険箇所がないかどうか,農地や作物を荒したり,住民に迷惑を及ぼしたりしないかどうか,注意が必要である。
また,野外活動は,必ずグループで行動させ,調査前後に連絡,報告を求めるなどして生徒の行動を掌握しておくことが必要である。
4)事故防止
研究課題が多岐にわたるため,教師の目が十分に届かないことも考えられる。危険な薬品を用いての実験や,高電圧を用いての実験など,あらかじめ危険が予想される実験を行う場合には,教師が立ち合い,十分指導する必要がある。