理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-008/139page
3 研究報告書(リポート)
課題研究の終了時には,実験・観察・調査などの結果をまとめて研究報告書(リポート)を作成する。このリポートの作成は理科2では重要な学習活動の一つである。つぎに,リポートの一般的な体裁について述べる。
研究報告書(リポート)
ア テーマ設立の理由(研究の目的)
イ 研究計画と経過
ウ データ(実験結果)
エ 結論(考察)
オ 反省
カ 参考文献
上記の順に記述するのが一般的であるが,研究内容によっては,イとウを一緒にまとめるとか,オの反省をエの結論の中に入れるなど変更される場合もある。重要なことは,ここにかかげたア〜カの項目がどこかに含まれているようなリポートを作成することである。
テーマ設定の理由
テーマを設定した動機,理由や研究の目的について,簡潔にわかりやすく紹介する。あとからリポートを読む人に研究の概要を理解してもらったり,研究方法や処理が目的に合致しているかどうか,研究成果を評価してもらう上で,また適切な助言を得る上でも必要である。
研究計画とその経過
どのような計画をたてて,どのような器具を使って,どのような方法によって,いつ,どこで,何の研究をしたか詳しく書く。
使用した機械,器具によって,研究資料,数値の精度がわり,研究成果の意義も正しく理解される。
データ(実験結果)
研究結果の良し悪しは,使用したデータが目的にかなって,十分によく集められているにかかっている。そのため,スケッチ,写真,各種測定値の表などはできるだけ詳しく,また,なまの数値を集める。ここで重要なことは,研究者の主観をさけることである。研究者から見て不都合な資料・数値が出ても捨てないで記録しておくことである。
また,数値などはグラフ化したり,測定化したり,測定地点やスケッチ,写真の場所などは地図上にポイントを明記するなど,わかりやすいよう工夫する。
結論(考察)
結論はデータにもとずいて,十分に吟味されたことがらにとどめ,事実と判定できるものと,推定しかできないものを明確に区別して記述することが大切である。
しかし,理科2で取り上げられる研究課題は多種多様なものになることが予想され,結論が見いだせない,いわゆる open end で終る研究も多いと考えられることから,事実と推定をはっきりさせる指導は特に重要である。
反省
研究計画やその過程で十分に検討したつもりでも,リポートを書く段階での資料の不足や不完全な点が目につくようになる。従って反省の項には,その気付いた事柄を率直に書く。後日,同じようなテーマにとりくむ生徒に貴重な指針となるためである。
参考文献
一般に,発表の古いものから年号順にあげるが,もっとも関連の深いものから順にあげることもある。