理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-019/139page

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4.放射性同位元素によるβ,γrayの性質

1 ねらい

 近年,放射能及び放射性物質の利用が多くなってきた。放射能や放射線に対する関心を高めるとともに,放射線障害の防護に関する認識を深めるなどの配慮が,特に重要なことである。そこで放射性同位元素の保管,取扱い,放射線の性質などを,実験を通して十分に理解させたい。

2 準備

 G―M計数装置(理振基準のもの) 線源(β,γ) G―M管測定台,磁石(βray の磁界偏向実験用)

3 方法

(1)G―M計数装置の使用法と測定準備

 1)G―M管の印加電圧と計数率の関係を調べ,プラトー曲線を求める。(図1)
G―M管の窓から,5〜10cm離れた位置に線源を固定し,G―M管の印加電圧を 300V から 25V ずつ上昇させ,毎分のカウントを計測する。ウォームアップタイムを数分間とること。
G―M管内の混合ガスの種類により始動電圧が異なる。ハロゲンガス封入のものは 400V 程度,アルゴンやネオンに少量の臭素,塩素,あるいは蟻酸エチル封入のものは 800V 位になるので,封入ガスが不明の場合を考えて測定電圧を決定する。
 印加電圧を上げていった場合,計数率が急に増加し始めたら,持続放電域に入ったことがわかるので,計測を止めること。この領域での使用は,G―M管の寿命を著しく縮めるので,絶対に避けること。
 プラトーの長さは,G―M管の良否を判断する重要な目安になる。通常始動電圧より 50V 程度高い印加電圧に使用電圧を決定する。この電圧付近では,印加電圧の多少の変動があっても,計数率にそれ程大きな差は生じない。

図1
G―M管の印加電圧と計数率の関係,プラトー曲線を求める

次に,線源を収納して,バックグラウンド(自然放射能)を計測してみよう。

○実験上の注意

 ア 直接,線源を肌に触れたり,眼に近づけたり,しない。線源は専用のピンセットで扱う。
 イ 実験室での飲食などの禁止。実験後には石ケンで手を洗うこと。
 ウ 実験衣の着用がのぞましい。
 エ 線源は貯蔵箱に入れ,標識をつけておくこと。実験用線源でも,教育上の正しい配慮をすることがのぞましい。


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