理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-022/139page
図6
(6)γrayの吸収を調べ,吸収係数を求めてみる。
ここで用いる G―M管は,ガラス窓のものでよい。他の放射線に比べて,γ線は物質と相互作用を起す確率が低く,相互作用を起し,吸収されるプロセスは a,β粒子とは異なる。
γ粒子の一部は吸収,散乱されるが,大部分は通過し,その減弱は指数関数に依ることがわかっている。
全てのγ線で,エネルギーを一定にそろえ(単色放射線)コリメートした線束であれば,次の式で示される。
強さ I=I0e−μx (I :厚さ x における強さ, I0 :厚さ0のときの強さ,μ:線減弱係数〔cm−1〕)
この式は,光の吸収係数の式と全く同じである。
1) G―M管とγ線源を 5〜7cm 位離し,その間の吸収板 (pb) の厚さを変えて測定する。なお,厚くなると計数が少なくなるので,計測時間を長くするとよい。
バックグラウンドを差し引かなければならないので,この計測もきちんとする必要がある。
2)データを表にし,バックグラウンドを差し引き,グラフのように片対数のグラフに処理する。(図7)
3)線減弱係数μを求めてみよう。初めの放射線の強さを 1/2 にするのに必要な pb の厚さがわかれば次の式で線減弱係数μを求めることができる。但しρは Pb の密度である。
∴μ=0.693ρ/X 1/2
図7
(7)γrayによる逆2乗則について調べる。
γrayは他の電磁放射と同様逆 2乗則が成立する。
線源は大きさがあるし,周囲の物質からの散乱もあり,バックグラウンドもあるので,こうした影響による計数を差し引くことにより,比較的一致したデータが得られる。
I=k/d2 (I :測定値)=k/(D+x)2 (D :線源から G―M管上の一点までの距離, x:補正項)
上式より計測した I を表にし, D+x=d でグラフにより補正をすれば関係が求められる。G―M管と線源の距離Dは 8cm〜40cm の間でいろいろ変化させて求めればよい。
4 考察
3の方法のうち,いくつかを実験し,考察しよう。
また,(6)のグラフ(図7)に表わされるような関係は,自然界に数多い現象としてみられる。光以外では,横軸を時間にするコンデンサーの放電曲線,放射能半減期,心理学では忘却曲線などが興味深い。