理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-037/139page
8.鉄の腐食について
1 ねらい
鉄の腐食は,我々のよく目にするところである。身近におこるこの腐食現象について,実験を通して多面的に探究させることをねらいとする。
2 準備
酸素,窒素,二酸化炭素ボンベ,鉄板,銅板,亜鉛板,鉄粉,鉄釘(4cm),ピロガロール液,シリカゲル, 5%NaCl, 1%K3〔Fe(CN)6〕, 1%フェノールフタレイン液, 0.1M―H2SO4, 0.1M−−NaOH, PH計,化学天秤,注射器,ピンチコック,輪ゴム,ビーカー(200ml)
3 実験
〔実験1〕 腐食に関する因子を調べる。
腐食に関係すると考えられている3つの因子について調べてみよう。
(1)方法および結果
1)水分の影響
方法 乾燥させた2本の試験管の1本にはシリカゲルを,他の1本には約 3ml の水を入れる。糸をつけた鉄釘がそれぞれの試験管中にぶらさがるようにゴム栓をする。
結果 シリカゲルを入れた方の鉄釘は全く変化がなく,水の入っている方は腐食される。
2)酸素の影響
方法(その1) 鉄釘を入れた3本の試験管の1本には,十分に沸騰させた純水を口まで入れゴム栓で密閉する。別の1本には,酸素ボンベにて酸素を飽和させた純水を口まで入れゴム栓で密閉する。残り1本には,沸騰させた純水を入れる。
結果 沸騰させた純水中の鉄釘は腐食されない。酸素で飽和した方は直ぐに腐食されはじめる。ゴム栓をせずに開放したものは腐食されるが,酸素を通じたものよりさびの生成が遅い。
方法(その2) 内壁をぬらした試験管に薬さじ(大)半分ほどの鉄粉を付着させ,水を入れたビーカーに倒立させて2〜3日放置する。
ゴム管をつけた注射器にピロガロール液 10ml を,つづいて NaOH液 1ml を注射器のピストンを引いて吸い上げる。
次に,ゴム管を倒立している試験管中に入れ,残留気体 10ml をとる(図1)。ゴム管をピンチコックで止め,注射器にとり,残留気体の場合と色を比較させる。
結果 試験管の約1/5まで水が上昇する。ピロガロール液の色は空気よりうすい。
図1 ピロガロール液による酸素の検出