理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-039/139page
2)青くなるのは Fe2+とK3〔Fe(CN)6〕によるターンブル青の沈澱生成であり,その部位では Fe→Fe2++2e− の変化が起こったことを示す。赤紫色はフェノールフタレインの変色で,その部位で 1/2 O2+H2O+2e−→2OH− の変化が起こったことを示す。周囲から赤紫色になっていくのは,中央より周囲の方が液の厚さが薄く,液にとけた酸素がより速く鉄の近くまで移動するためと考えられる。青色部位では腐食が起こり陰極。赤紫色部位は陽極。両部位が接しているので Fe2++2OH−→Fe(OH)2 の反応で白色物質を生ずる。
Fe(OH)2 は酸化され黄褐色の Fe(OH)3 を生ずると考えられる。C液には酸素が十分に含まれているので直ぐに赤紫色に変化する。
(その2)
約1分経過すると K3〔Fe(CN)6〕を加えた方は,液面より青色物質が糸状になって落ちていく。K3〔Fe(CN)6〕を加えない方は,白黄色の物質が糸状に落ちていく。白黄色物質は,時間の経過とともに黄褐色に変化する。
(3)結論
腐食現象は電気化学反応であることを把えさせる。
〔実験3〕 異種金属を接触させると腐食はどうなるか。
(1)方法
1)鉄板,銅板,亜鉛板の表面を紙ヤスリでよく磨き,乾いた布でふきとる。
2)鉄板(7.5cm×4.5cm)15板,銅板・亜鉛板(4.5cm×4.5cm〕各々5枚準備し,各金属の質量を測定する。
3)200ml ビーカー5個に鉄板を,5個には銅板を接触させた鉄板を,5個には亜鉛板を接触させた鉄板を入れ,各々に5%食塩水を鉄板が全部ひたるまで入れる。
4)一日ごとにビーカーより鉄板のみ,亜鉛板と接触させた鉄板,銅板を接触させた鉄板をとり出し,各金属の表面をタワシでこすり水洗する。ろ紙で表面の水分を除き風乾する。
5)各金属の質量を測定し,各金属の減量(mg)を表面積で除した値を腐食速度(mg/cm2)としグラフ化させる。
(2)結果
1)鉄板のみ,銅板に接触させた鉄板はさびを生ずる。鉄板に接触させた亜鉛板より白色物質が生ずる。
2)鉄板の腐食速度は,鉄板のみより銅板を接触させた鉄の方が腐食されやすく,亜鉛板を接触させた鉄は全く腐食されない(図3)
3)鉄板と接触させた銅は全く腐食されず,鉄板と接触させた亜鉛板は腐食される。
(3)考察
(2)の 2),3)の現象をイオン化傾向より考察させる。
図3 異種金属の接触による鉄の腐食速度