理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-040/139page

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〔実験4〕 PHの変化と腐食

(1)方法

 1)表面を紙ヤスリでよく磨き,布でふいた鉄板(4.5cm×6.5cm)を調整したPH1〜14の液100ml に入れ,1時間,3時間,12時間,1日,2日……経過後のPHの測定とさびの生成を観察させる。
 2) 1)と同様に処理した鉄板の質量を測定し,酸性(PH1〜2),中性(PH6〜7),アルカリ性(PH13〜14)の液 100ml に入れる。1)の時間経過で鉄板の質量変化を測定させ,液に浸っている面積で除して腐食速度を求めさせる。
 3)グラフ化させ,それよりどのようなことが考えられるかまとめさせる。

(2)結果と考察

 1)PHl〜3に入れた鉄板からは,気体の発生が見られるのみである。
 2)PH4〜7に入れた鉄板には1時間後にさびの生成が見られる。
 3)液のPHが4〜9になるとさびの生成が見られる。図4の斜線の範囲でさびが生ずる。
 4)PH11以上の液では腐食されない。
 5)液のPHはすべて6〜7に近づく傾向にある。
 6)PH1〜2の酸性液での腐食速度は大である(水素発生型)。中性付近での腐食速度は小さい(さび生成型)。PH13〜14では全く腐食されない(図5)

図4 pHの変化とさびの生成
pHの変化とさびの生成

図5 腐食速度と液性
腐食速度と液性

(3)その他

 液中での腐食に関する環境因子としては,この他に溶存酸素・溶存イオン・温度などが考えられる。腐食速度と溶存酸素・温度との関係,腐食を促進させるイオンまたは抑制させるイオンなど,また応力と腐食,大気中での腐食,土中での腐食などへと発展させることのできる教材である。


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