理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-044/139page
10.シダの前葉体の初期発生
1 ねらい
シダ植物の胞子を採集発芽させ,前葉体を培養することにより,生活史について理解を深める。次にあげるテーマの1つをえらび,特に初期発生について研究する。観察記録は,スケッチ及び自作アダプターを使った顕微鏡写真によって行う。
(1)胞子の播種密度と前葉体の成育についてしらべる。
(2)仮根の伸びと糸状体(前葉体細胞)の発達方向の関係をしらべる。
(3)横分裂(二次元成長)の開始の要因は何かをしらべる。
2 準備(培養,観察は9. シダの前葉体の培養と観察に同じ)
塩ビ管(直径36ミリ,長さ50ミリ),塩ビ板(70×70ミリ,2枚),接着剤(塩ビ用),カッター,コルクボーラー,ゴム管,フィルムケース(黒),一眼レフカメラ(TTLがよい〕,三脚,レリーズ。
3 方法
(1)胞子のとり方(9に同じ)
(2)胞子体と胞子の観察
(イ)胞子葉の複葉の一部を,裏から見て小羽片の形,羽片の形を写生し,さらに胞子嚢群の並び方,形,包膜なども観察する。採集した胞子体の属や種の同定を試みる。
(ロ)よく熟した胞子嚢をさがし,環帯のようすや入っている胞子を写生しておく。
(3)培養液のつくり(9に同じ)
(4)培地のつくり方(9に同じ)
水栽培,寒天培地の両方を必ず用意する。
(5)胞子の播き方(9に同じ)
寒天培地の場合は,胞子の密度を 5〜80/cm2 にして,実験区をいくつかつくる。
(6)培養の条件(9に同じ)
小テーマ(2),(3)の場合は,シャーレを置く場所やシャーレの向きもいつも一定にする。
(7)顕微鏡写真のとり方
一眼レフカメラ(TTL),生徒用顕微鏡,自作アダプターを使い,簡単に,どこの学校でもできる写真のとり方について説明する。
(イ)自作アダプターの作り方(図1)
フィルムケース(黒がしっかりしている)と塩ビ板(不透明)を下図のように接着させ,中心にコルクボーラーを加熱させて穴をあける(直径13mm 位)。フィルムケースの代りに,塩ビ管(直径25mm )を使うと強固なものが出来る。
双眼実体顕微鏡の円筒(接眼レンズ)は太いので,フィルムケースの部分に,直径36mm の塩ビ管を切って接着するとよい。双眼実体顕微鏡は,傾斜鏡筒が多いので,カメラの固定や密着をよくするため,カメラの口径に合わせた塩ビ管継手(市販品)を反対側に接着させると便利である。ペンタックスSPの場合,口径が49mm なので,50mm の継手(内径は60mm ある)を接着した。双眼実体顕微鏡で写