理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-049/139page

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(2)染色の場合は,染色液を入れた時計皿に切片をひたし,十分染色されたら水洗し,スライドガラス上に移し,水で封じて検鏡する。
  スライドガラス上の切片に,フロログルシン液を滴下し,これに希塩酸(15%)を加え,カバーガラスをかけて検鏡する。木化した部分は鮮紅色に染まり,他部とはっきり区別される。この方法は塩酸を使うので,対物レンズや金属部分がいためられやすい。使用後の清掃に注意しなければならない。

4 結果と考察

葉の構造

(1)葉は茎の節部に着生し,同化作用と蒸散作用を行う器官である。葉の表面にはクチクラの層があり,内部組織を保護している。表皮組織は普通1層の細胞から成り,葉緑体を含まず,透明である。

(2)上面表皮の下には柵状組織が整然とならび,その下に細胞間際の多い海綿状組織がみられる。両者は葉緑体をもつ同化組織で,葉肉とよばれている。

(3)裏面の表皮のところどころに気孔がみられる。気孔は2個の孔辺細胞にかこまれている。表皮細胞に葉緑体はないが,孔辺細胞には葉緑体がみられる。マツの気孔は表皮が陥没した内側にある。

(4)葉の維管束は,木部が葉の表側に,師部が葉の裏側に配列し,周囲に木化した繊維組織がみられる。

 1)葉肉の海綿状組織のすき間は,どんなはたらきに役立っているか。
 2)同じ植物の陽葉と陰葉とでは,葉肉の厚さにどのようなちがいがみられるか。
 3)葉脈(葉の維管束)では,木部が葉の表面側にある。その理由を,茎の維管束との関係から考えてみる。

図 ツバキの葉の断面
ツバキの葉の断面


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