理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-052/139page

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12.根の構造の観察

1 ねらい

 栄養器官としての根について,その維管束の配列を中心に構造を調べる。葉や茎にはみられない放射型の維管束配列と,茎の並立維管束との関連を,連続切片により比較・検討させたい。幼植物が必要のため,校内での播種・栽培管理などを行わせ,生徒自身の手による実習になるよう計画しておく。

2 根の構造を調べる

 材料 根の構成は,基本的にはほぼ同じ。放射型維管束の観察はどんな植物でもだいたい実習材料になる。材料として用いる根はあまりかたくなく,太さも適当な一次組織が完成しているものがよい。一般には単子菜根の方がよく使われている。材料の根は,よく水で洗ってから徒手切片をつくる。
 単子葉根 アヤメ,ショウブ,ユリ,トウモロコシ
 双子葉根 インゲンマメ,ソラマメ,ヒマワリ,コスモス

3 準備及び方法

 器具・薬品などの準備は,葉や茎の場合と同じ。徒手切片のつくり方もほぼ同じである。茎にくらべると,やや切りにくい。ピスなどにはさみ,カミソリの刃ですべらせるようにして切る。実習の成否は,うすくて良い切片がつくれるかどうかにかかっている。何度も繰返して練習しておくことである。
 固定・染色の方法も葉や茎と同じでよい。

4 結果と考察

 根の内部構造のうち,最も簡単なのはシダ植物と単子葉植物である。木部と師部とが交互に配列した放射維管束が一生を通じてみられる。従って,これらの植物では,第2次組織による肥大生長が行われない。
 裸子植物及び双子葉植物では,はじめはこれらと同じように放射維管束をつくるが,その後並立型の維管束に変化し,茎と同じように肥大生長を行うことができるようになる。
 1)若い根での表皮細胞の形,細胞層は葉・茎と比較してどうか。根毛細胞の形,細胞数はどうなっているか。
 2)皮層の厚さは茎とくらべてどうか。
 3)茎にくらべると,はっきり確認できる内皮の構造を調べる。膜の肥厚の状態はどうなっているか。
 4)根と茎の維管束とくらべてみる。双子葉草本茎では並立維管束なのに,根では放射維管束になっている。ホウセンカなどの幼植物を用いて,茎から根への変化を連続した切片をつくってみる。これらを順にくらべて,維管束がどのように移り変っていくかを調べてみる。


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