理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-053/139page
参考 根から茎への維管束の変遷
裸子及び被子植物の茎は並立維管束,初生木部の発達は遠心的である。根は放射維管束をもち初生木部は求心的に発達してくる。従って茎から根への維管束の移行にあたっては,木部はねじれて180゜だけ方向を変えることになる。
茎から根への維管束の移行
→→→ ○は師部→→→ ●は木部
5 実習の記録(描画(スケッチ)と写真)
実習での観察結果を,正確な写生図としてスケッチしたり,写真として記録しておくことは,重要なことである。最近では顕微鏡テレビ装置によって録画できるようになったが,微細な面での記録となると描画による写生図には及ばない。スケッチをするためには,対象となる構造を鏡下にさがし出すことと,その配列・構成などがよく理解されていなければならない。
スケッチには単眼の顕微鏡を用い,ケント紙(画用紙でもよい)を側におき,顕微鏡の視野と紙とを,両眼をあけたまま同時に見る。両者が重なるようにして鉛筆(Hか2H)でスケッチする。なれないと両眼をあけてみることがむずかしいし,視野像をうつすことも,練習しないとなかなかできないものである。カメラ・ルシダやアツベの描画装置などが,学校で用意できれば,照明に注意させて,スケッチさせるとよい。
スケッチをする時は,鉛筆を握る力を一定にし,同じ濃さになるようになるべく一本の線で描く。とぎれのないように,重ね書きは不要。微細な内部構造は,焦点をかえたりして,正確に描く。生徒はよくコンパスで円を描き,視野全体の像を描こうとするが,写生図では無理なことである。全体的な配置があきらかになるものと,特徴的な構造を示すものと二つにわけて記録させるとよい。
カメラによる写真の記録については,顕微鏡写真撮影装置を用いる方法もあるが,一眼レフカメラで露出計内蔵のものを用いると,アダプターさえあれば割と簡単に撮影できる。学校でカメラの用意があれば,実習時に教師の指導で行わせたい。(10シダの前葉体の初期発生の項参照)