理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-055/139page
3 実習
(1)1日中,日陰にならない広場に上記の(1)〜(3)の装置を設置する。
(2)風のない晴れた日を選んで,1時間ごとに,地表から20cm間隔の高さごとの気温,地表面の温度,湿度,水温,太陽の高度を観測する。また,水平日射量は直達日射量測定(理科1指導の手引参照)の方法で測定する。
(3)測定器の操作や測定値の続み,記録の仕方などの基本的な事項は,事前に学習しておく。
4 結果と考察
(1)気温・地中温度の測定(図5)
a 測定と結果
気象観測露場内の芝生の一部を取りのぞいて地面を露出させ,図4のようにして地表面下 1cm の深さ,また,地上 20cm,60cm,100cm140cm の高さにそれぞれアルコール温度計を設置し,1時間ごとに(休み時間を利用)温度を読み,記録する。
(付記)
・12時頃,地温が下っているのは,層積雲で観測地が曇っていたためである。
・13時頃から西天をうす雲が覆うようになる。
・14時頃から北東方向,3m/秒の風が吹き始めた。
b 考察
1)日中の気温変化は,地表面近くの大気ほど大きい。
2)気温は地表面に近い程,一般に高いが,1m 前後の高さでは,高さによる気温差が少なくなる。
3)日中の気温変化は,地温変化によく似ており,太陽放射エネルギーで,まず地表面が暖められ,続いて地表に接している大気が地面で暖められていく様子をグラフから読み取られ,大陽放射エネルギーの流れが推論できる。
4)12時頃の地温が下っているが,これは曇ったためで,地表の乾いた土砂は暖り易く冷えやすい比熱の小さい物質であることがわかる。また,急激な地温の変化は地表面から40cm 付近の高さまで影響を与える。
5) 2m/秒の風では,地表面近くをのぞいて高さによる気温差は小さくなる。
図4
・温度計を深く入れない
・約1cm
図5 観測高度別の気温変化曲線 県教育センター露場