理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-059/139page
方法
(1)問題点を把握させる。
a 地域によって,よく晩霜害にあい桑や葉たばこが被害を受けることや,身近なところで,気温が地形や森林,建物などの影響をうけていることを認識させる。
b 場所によって,温度の違いのあることを認識させながら,気温分布図をかくことによって,その特徴や原因などがよくわかるようにする。
(2)調査範囲と観測点をきめる。
都市部であれば,学校を中心に1〜2km2,田園地帯であれば1つの盆地が調査のよい対象範囲となる。
観測点は,都市部であれば 100m〜200m,田園地帯であれば 500〜1km 間隔で,その附近の平均の気温を示すと思われる場所を選ぶとよい。調査範囲内に段丘地形やくぼ地があるときはその周辺に対して 20m〜50m 間隔にして地形の影響を調べることが大切である。
(3)観測方法
(実習1を参照)
結果と考察
(1)資料の整理
(実習1を参照)
(2)考察例
図10は福島盆地北東部に位置する保原町から梁川町にかけての平坦地を26か所設け観測した1970年4月16日午前6時の気温分布図である。
保原町の北側で北北西から南南東方向に 5km 幅1.5km の細長い低温域が発達し,周辺より 1℃〜2℃低温となっている。また,栗野地区でも小規模であるが周囲より2℃ほど低い低温域が発達している。
一方,高温域は盆地東側の山ぎわに沿って南東から北西方向に10km, 幅3km の規模で周囲より2℃〜4℃ほど高い高温域が発達している。
図10の気温分布から,晴れた夜,放射冷却で冷された空気塊は重いので,低い所へと斜面に沿って下降し始め,低地域に溜まり,低温域を形成したものと考えられ,逆に,放射冷却のおこる夜間から早朝にかけ山間部が平野地より高温域となったと考えられる。
図10 1970年 4月16日 午前6時
保原高校地学クラブ資料