理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-061/139page
ざかるにつれて小さくなることなどを理解させることができる。
また水平成分合成値(横ゆれ)の大きさと震度階との関係を考察させることができる。
〔実習2〕
(1)方法
表1のデータからP波およびS波の速度を求め震央の位置を決定する。(地震波の速度を求めるには,表1から走時曲線をつくり,それをもとに算出する方法や等到達時刻線図から求める方法などがある。)
(2)結果・考察
図3から,地震波の速度は,Vp=7.0km/s, Vs=4.2km/s と求めることができる。
これらの値から,大森公式D=k・ts−P における k=Vp・Vs/(Vp-Vs)=10.5 を求めることができる。
また, k=10.5 を用い震央の近くに位置していると思われる三点(a〜c)の初期微動(ts−P)の時間から震源距離を求める。
この値を半径とする円を観測点を中心として描き,三本の共通弦の交点を震央とする。
図3 走時曲線の例
〔実習3〕
(1)方法
P波の初動の向きと大きさから求めた水平成分合成値および U−D の分布のようすから主圧力と主張力の方向を考察する。
P波の初動水平成分合成値の向きと大きさおよび震央に加わる力の方向
水平成分合成値が震央の方向に向いている地域と,それの外側に向いている地域に分けることができること。またP波の初動の垂直方向が上方に向くものと下方に向くものがあること,これらの分布に象限型の発震機構をあてはめると,この場合東と西から圧縮する力(主圧力)が働き南北方向に主張力が作用したと考えることができる。
図4 大森公式から震央を求める方法
図5 P波の初動水平成分合成値の向きと大きさおよび震央に加わる力の方向