理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-065/139page
(2) 自然環境についての調査
1.生物による水質調査
1 ねらい
河水の汚れのため魚の住めなくなった都市河川が多い。生物は,それぞれの適した環境に生息しているので,河川に生息する水生昆虫を調べると,長期間の環境の変化,すなわち,河川の水質の変化がよくわかる。各地域の河川の水生昆虫を調べ,生物学的水質判定を行う。
2 準備
(1)現地で必要なもの。 1辺50cm の金属製わく,金網製かご(網目1mm 以下)又はサーバーネット(自作),ポリバケツ(2〜3ケ),ナイロン製タワシ(2〜3個),巻尺,テトロンゴース (50cm×50cm 位,調査地点数),ピンセット(先細型),ビニール袋,輪ゴム,水温計,流速計(自作,浮きに5m 位のひもをつける),ストップウォッチ,PH測定器,油性マジック,野帳,ホルマリン,ゴム長靴,手袋
(2)教室で必要なもの。 大型バット,ルーペ(大型がよい),テトロンゴース(50cm),シャーレ,管瓶(ドリンクの空き瓶でもよい),種名記入用紙 (1×5cm の短冊),双眼実体顕微鏡,解剖顕微鏡,ピンセット(先細型),ピペット,ホルマリン,検索表
3 方法
(1)調査地点をいくつか定める。調査地点は,次のような条件がよい。
1)瀬の石礫底で採集する。石礫の大きさは,直径30〜50cm前後。
2)表面流速 0.7m/sec 前後。
3)水深30cm 程度のところで,落葉や木の枝のひっかかっているところはさける。
4)調査の前数日間のうちに出水,増水のあった所はさける。
(2)目的に応じて,淵・早瀬・平瀬に調査地点を設定し,コードラートを川底に置く。
(3)コードラート内の水深をはかり,水を採取し,PHを測定する。
(4)川底の状態(浮石の多少,大小,はまり石の有無,石の表面,沈澱物の有無),河川型の記録,時刻などの確認をする。
(5)コードラート(金属製)の下流端に金網製かご又はサーバーネットを置き,コードラート内の大型礫をポリバケツ内に入れる。次いで,かご又はサーバーネット内に,砂や礫を深さ5cm ぐらいまでとり入れる。
(6)砂や礫を別のポリバケツに入れる。
(7)大形礫の表面をタワシで洗い,礫は捨てる。
(8)(6)のポリバケツに水を入れ,2〜3cm 以上の小石は捨てる。
(9)テトロンゴースを広げて,その中央に,(7),(8)のポリバケツの内容物をすべてあける。
(10)テトロンゴースの四隅をまとめ,内容物を包むようにして,二重のビニール袋にそのまま入れる。内容物が寝たる程度に水を入れ,10%ホルマリン液になるようにする。
(11)袋の表面に,油性マジックで,採集日時,場所,番号など記入する。袋の中には,紙に鉛筆で書いたメモを入れておく。