理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-082/139page
〔参考〕帰化植物の特性
(1)一般に一年生植物が多い。多年生のものは少なく,木本性のものは稀である。
(2)種子や果実の散布力や付着力が大きい。
(3)種子の発芽に特別な条件を必要としないものが多い。
(4)種子からの発芽後,幼植物は急激な生長をする。
(5)多量の種子を作るものが多く,また一生を通じて種子を作る期間が短かい。
(6)気候や土壌などの環境の変化によく適応して生活できる。
(7)一般に窒素分の多い(富栄養な)土地によく生育する。
(8)日なた植物が多い。
3 タンポポ(在来種と帰化種)で環境を診断する
欧州原産のセイヨウタンポポは,在来種(エゾタンポポ,カントウタンポポなど)を圧して,今では日本全土にひろがっている。在来種と帰化種の自然の中での生態のちがいを,いろいろな角度から調べて,タンポポの種類と環境との関連を考えてみる。
(1)準備
調査地附近の地図,調査用紙,巻尺,方形枠,ロープ,数取器,PH計
(2)方法
1)タンポポ地図をつくってみる。
市町村域,学区域などをえらび,在来種と帰化種を調べ分布図をつくる。2種のタンポポは総苞の外片の形で見わけることができる。セイヨウタンポポでは,総苞の外片が下向きにそりかえり,在来種ではそりかえらない。つぼみでも花が咲いたあとでも同じである。
調査区域は,なるべく環境条件の異なるところをえらび,方形枠でなくても,小さなクイを4本用意し,ロープでかこんだ枠内のタンポポの数をかぞえてもよい。枠の大きさは,調査地の状況に応じて設定する。
調査地点の土地の特徴も調べておく。在来種と帰化種の割合を求めて,調査結果を地図上に整理してまとめる。
2)タンポポと環境のつながりを考えてみる。
タンポポ地図と生育環境を結びつけて,まとめをしてみる。どんな環境条件下に,両種が分布しているか。またその原因となっているものについて考えてみる。
3)在来種と帰化種の特徴・生態を調べる。
ア 花の大きさ
イ 花びらの形
ウ 花びらの数
エ 開花,結実の日数
オ 種子の大きさ
カ 種子の数 綿毛のつく時期に数える。1株あたりの種子数を計算してみる。