理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-083/139page
キ 種子の発芽を調べる。 種子100ケをまいて,発芽までの日数について比較してみる。
ク タンポポがはえている土地の土を調べてみる。
・タンポポの主根近くの土を採取し,PHを測ってみる。PHメーターでの測定がより正確であるが,BTB液を用い,標準変色表で求めさせてもよい。
・土地の水分(乾湿),ふまれ(人の通行),土砂の移動なども一緒に調査しておく。
・有機物の含有量を調べる。採取した土を乾燥させたり,土を焼いたりして含水量や灼熱による減少量を比較してみる。
ケ 根の再生力を調べる。
タンポポの根を掘りおこし,根の上部と下部とで再生力にちがいがあるか,比較する。在来種と帰化種で,再生力に差があるか,栽培実験で比べてみる。
(3)結果と考察
1)タンポポ地図をつくってみると,国道などの幹線道路沿い,市街地,新造成地,線路沿い,人通りの多い路傍など,人為的な影響を受けたところほど帰化種が多くなっている。
2)帰化種は,その分布地域が集中し,数も多い。また帰化種が多い地域に,在来種が混生している例は少ない。
3)在来種は,もとの豊かな自然が残っている安定した土地(人為的影響が少ない)に育っている。
4)帰化種では,在来種とくらべると,花の大きさ,花びらの形などはやや小さいが,花びらの数や種子数などは多くなっている。
5)帰化種では単為生殖ができる。シロバナタンポポを除くと,在来種の大部分が花粉なしでは実をつけないのに,帰化種では花粉なしに結実する。帰化種の頭花に袋をかぶせたり,つぼみの時上から2/3ぐらいを切り柱頭を除いたり,つぼみをひらいて中の花をひき抜いたりしても,よく結実し熟した実は発芽力をもっている。セイヨウタンポポの繁殖力が,在来種にまさる理由のひとつであると考えられている。
6)開花している日数,結実している日数,帰化種の方が短い。
7)帰化種と在来種の生育地点でのPHを調べると,シロバナタンポポを除き,在来種は弱酸性,帰化種はアルカリ性の地点に多くなっている。
8)帰化種の多い土地は含水量,灼熱による減少も少なく,有機物の少ない乾燥した土壌でも帰化種は育つことができる。
9)根の再生力は,帰化種の方が在来種より強い。同じ種では根の上部の方が再生力は強い。