理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-090/139page

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10 微気象を調べる(風向)

1 ねらい

 直接的に観測可能な範囲で大気の運動のようすを調べ,その原因を考察する。またこの局地的な大気の運動と人間生活のかかわり合いを考察する。

2 準備

 観測器材(市販器材と自作品とを併用),地形図,空中写真,その他

3 実習

〔実習1〕 海陸風を調べる

(1)方法

  測定の目的に適合した観測点を選定する。(特に多点観測の場合は,各観測点ごとに共通した条件が得られるように配慮する。)
  各観測点ごとに少なくとも1時間ごとに風向・風速(風力)を測定する。観測は少なくとも24時間継続する。(観測が24時間にわたるために生徒の安全管理のため,観測点連絡網(図1)を確立し,1時間ごとに測定本部に決められた方法で観測結果を通報する。)
  測定本部に集められた測定値は,地形図上にプロットし考察の資料とする。

(2)結果と考察

  図1のような地点で測定をおこなった場合,海風の影響する範囲やそれが強くなる時刻,陸風との交代する時刻あるいは陸風や海風が地上物の影響を受けて特に強く吹きやすい場所などを読み取ることができる。
  この風向・風速(風力)の変化と気温・日射・地温・水温などの要素を加えて考察すれば,海風,陸風の発生と交代のメカニズムをさぐることができる。
  この資料と大気中のSOx量あるいは降下ばいじん量を測定し,その結果と前者の測定結果とを総合的に考察すれば人間生活とのかかわり合いを理解することも可能である。
  図2は,いわき市小名浜における光化学スモッグの発生から消滅までの影響域の変化のようすと影響の程度を示したものであるが,これに同時期の風向,風速などを書き加えることによって,汚染大気の拡散と海風の関係をとらえることができる。

図1 観測点連絡網の例
海陸風を調べる

  (1.自宅の観測点, 2.野営の観測点, 3.連絡用公衆電話, 4.通報時刻,方法 実線:電話,破線:無線, 5.風速計, 6.風向計, 7.自作風向計)


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