理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-098/139page
13 段丘を調べる
1 ねらい
段丘崖や段丘面のようすから,段丘の地形的な特徴をとらえ,段丘崖に露出する地層のようすから,段丘のできかたを考察する。
さらに,ある地域の段丘の分布のようすを調べ,それをもとにして,その地域の地盤運動のようすについて考察する。
2 準備
地形図,地質図,巻尺,クリノメーター(ハンドレベル),平板,ハンマー,サンプル袋,管びん,記録用具
3 実習
(1)段丘をさがす。
段丘の地形的な特徴(段丘崖・段丘面)あるいは切り通しにみられるたい積物の状態などを手がかりに段丘をさがす。
この現地調査の前段階として,地形図(2万5千分の1〜3千分の1)地質図あるいは空中写真があれば,それを立体視する方法で段丘の分布を調べておくとよい。
(2)段丘のようすを調べる。
・段丘崖の高さ:直接的に測定できる条件のところは多くない。簡易測量法によっておおまかな測定をするか,精度を高める必要のあるときは平板などを用いる。
・段丘面のひろがりとそのようす:段丘面のひろがり・傾斜方向・段丘面の浸食のされかたなどを調べる。(人工的に変化している場所も多いので,それらと区別して取り扱う。)
(3)段丘崖の地層のようすを調べる。
・全体のようすを観察して,たい積物の種類,たい積のしかたなど特徴ある層ごとに分け,地質柱状図または露頭図をつくる。
・地層と地層の境い目のようす(整合・不整合・二次生成物のようす)を記録する。
・たい積物のようすを調べる。
・たい積物の粒の大きさと形およびそれらの混り合い方
たい積物の粒の種類(礫の岩質・火山灰の構成鉱物など)と含有率
・化石の種類と産状を調べる。
泥炭層の部分(礫質や砂質のところも含まれている可能性はある)を中心に調べる。小枝や樹幹などが多く含まれているところは種子なども含まれていることは多い。(軟かい地層に含まれている種子,木片などは掘り出したあと乾燥すると崩れてしまうものが多いので,ビニール袋や管びんに保管する。砂や泥をおとしたあとは60〜80%アルコール中で保管する。)
4 結果と考察
(1)段丘の分布と段丘のようす。
段丘崖の大きさは,浸食面の変動量をあらわす。ここでいう変動量とは,地盤の上昇量あるいは侵食水面の低下量またはその総合量としてとらえることができる。