理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-105/139page
1)実験
ガリレオは,自由落下の実験をそのまま実施せずに,斜面を利用した。
溝を切った板を傾斜させ,溝沿いに真ちゅうの球を転がす。一方,時間の測定は水おけの底の小孔から流出する水量を測って行われた。溝の長さを変えて転がり落ちる時間を測り,距離は時間の2乗に比例することを確認し,板の傾斜角を変えてもこの関係は変わらず,傾斜角を90゜にすれば自由落下の場合と同じになると考えた。
2)準備
時間の測定装置,みぞのある厚い板(角柱),角度の測定器,ピンポン玉,ビー玉,スマートボール
3)方法
水時計による時間の測定方法
底にピンチコックのついている水槽から落下する水の量をビーカーC で受け取め,その水の容積をメスシリンダーではかる。
1)角柱の斜面上を9等分し「しるし」をつける。
\ l 2l 3l 4l 5l 6l 7l 8l 9l 水の容積 2)スタートラインに置いた球をしずかにはなし, l だけ走るに要する時間 t1, 2l だけ走るに要する時間 t2…を測定する。
3)横幅に l,縦軸に t をとってグラフを描け。
4)さらに,横軸に l ,縦軸に t2 をとってグラフを描け。
5)球の種類によってどうか。
6)傾きを変えて同様の実験をしてみよ。
3 実験上の留意点
1) l−t2 グラフは原点を通る直線上にあることを確かめよ。
2)水時計による時間の測定で,球が同じ距離をころがる間に,ビーカーにうけとめる水の量を数回測定し,同じになるかどうか確認する。
4 結果と考察
ガリレイの実験過程を追実験で確かめながら,ガリレイの思考過程をたどってみよう。科学技術がいかに進歩しようとも動かし得ない哲学に触れることができるだろう。