理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-115/139page

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4 電池と電気の化学作用について

1 ねらい

 ボルタによる電池の発明は,その後の化学の発展に大きな影響を与えた。すなわち,カーライルニコルソンによる水の電気分解をはじめとして,デービーの融解電解による新元素の発見,ファラデーの電気分解の法則の発見,アレニウスの電離説の確立と電気化学の発展はめざましいものがある。
 しかし,これらの発明や発見はそれまでの学問の積み重ねがあって初めてなされたのである。ここではボルタの電池の発明の経過をたどり,それがどのようにして,電気化学を促がしたのかをまとめ,そのうちのいくつかを実験によって検証する。

2 ボルタの電池の発見の経過とボルタの電池の復元と改良

(1)ガルバーニの動物電気説
  ガルバーニがどのような経過をたどって,動物電気説をまとめたのか,文献によって調べる。

(2)ボルタの電池発見までの経過
  ボルタが電池を発見するまでの経過をまとめる。
・まとめの概要
 1)カエルの足のけいれんは金属による電気の発生が原因であることを主張。(1971年)
 2)カエルの足のけいれんの大きさと金属の種類との関係について発表。(1794年)
  ホルタは種々の金属や導体を1列にならべたものを発表し,用いる2種の金属又は導体が,この列の中で離れている程,電気作用が強いことを発見。
  ボルタの発表した金属列
   Zn,Sn,Pb,Fe,Cu,Pt,Au,Ag,石墨,木炭
 3)電池を発表(1800年)
  ボルタは塩水又は灰汁(アルカリ水)で湿らせた布(又はろ紙)を2種の異なる金属板の間にはさむと弱い電流が流れることを発見した。

(3)ボルタの電池についての実験
 1)準備
  亜鉛板(4×4cm),銅板(4×4cm),3M食塩水,2M硫酸,1M水酸化ナトリウム,電圧計,発光ダイオード(又は豆球),布,6%過酸化水素水
 2)実験方法
  ア 極板の間に,電解液で湿らせた布をはさみ,極板の組数と電圧の関係,及び発光ダイオードや豆球の点燈の有無を調べる。
  イ アの実験を食塩水,水酸化ナトリウム,硫酸,硫酸に6%過酸化水素水を加えた液について行う。
   ※ 電解液をつけ過ぎると短絡するので注意する。また,各組の極板を直接重ねると,極板間の抵抗のため,起電力を正確に測定できない。
   ※ 発光ダイオードには,正と負があるので,電池の原理を調べさせ,どちらの極板が正になるかを確認させた上で使用させる。


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