理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-116/139page
3)実験結果の例と考察
電池の組数 1 2 3 4 5 6 7 8 食塩水 0.77(V) 1.49(V) 2.27(V) 3.10(V) 3.90(V) 4.72(V) 5.50(V) 6.30(V) 3組で発光 豆球点燈せず 1MNaoH 1.07 1.92 3.02 3.90 4.93 5.80 ― ― 2組で発光 3組で点燈 2MH2SO4 0.96 1.88 2.86 3.85 4.86 5.60 6.70 ― 2組で発光 3組で点燈 2MH2SO4+H2O2 0.89 0.89 2.78 3.87 ― ― ― ― 2組で発光 1組で点燈 ア 使用した発光ダイオードはおよそ1.6Vで,2〜3組目で発光した。このことから発光ダイオードは微少な電流でも発光するので,豆球に比べて便利である。
イ 極板は無処理の状態で使用したので,銅板の酸化の状態や,亜鉛板の純度に違いがあるため,実験結果にバラツキが見られる。
ウ 2M硫酸に過酸化水素を滴下したものは,豆球がかなり長い間点燈するが,ボルタは減極作用については気付いていなかった。
エ 食塩水だけでは,豆球は点燈しなかった。このことから考えると,食塩水や灰汁でいろいろの電気化学の実験を行うためには,かなり大きな極板を多数積み重ねて使用したことがうかがえる。
(4)ボルタの電池についての実験
1)準備
亜鉛板(4×12cm), 銅板(4×12cm), わに口クリップ付リード線,豆球,電圧計,2M硫酸,6%過酸化水素水,5%重クロム酸溶液,5%塩化水銀(2),2M硝酸,炭素粉末,二酸化マンガン,古い乾電池,電解液用セル,極板間絶縁用発泡スチロール
2)実験方法
ア 透明塩ビ板を用いて,右の図のようなセルを製作する。
(ビーカーを用いると,多量の電解液を要する。)
イ 亜鉛板と銅板の間に発泡スチロールをはさんで輪ゴムで極板を固定する。
ウ 硫酸を電解液として,電池を組み立てる。
エ 極板の組数と電圧の関係,及び豆球の点燈のようすを調べる。
オ ボルタの電池以後の電池の発達の歴史を調べ,ボルタの電池を改良して,長時間電流がとりだせるように工夫する。
例 (ア)銅極を酸化する。
(イ)電解液に,過酸化水素水や,重クロム酸液を加える。
(ウ)銅板のまわりに,古い乾電池からとりだした, MnO2+C 粉末をつけて,布で包む。
(MnO2 粉末と炭素粉末を混合したものを用いてもよい。)
(エ)銅板のまわりに,希硝酸で湿めらせた布をまきつける。