理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-118/139page
3 電池の化学作用
(1)カーライルによる水の電気分解
イギリスの解剖学者カーライルが水の電気分解を発見した経過を調べる。
(2)自作のボルタの電池による水の電気分解
1)準備 真ちゅうの線,白金線,自作の電池, 2M硫酸,シャーレ
2)実験方法
ア 厚さ 1cm 位の木片に,二本の真ちゅう線を輪ゴムでとめて,電極をつくる。(白金電極も同様の方法で作る。)
イ シャーレに 2M硫酸を入れ,2の(3)でのボルタの電池の実験で使用した電池を用いて,電気分解を行いようすを観察する。変化が見られない場合は,電池の数を増加させて再び実験する。
3)実験結果の例と考察
ア 真ちゅうの電極を用いた場合は,3個の電池で変化が認められ,4個の電池では明らかに電解のようすをとらえることができる。この場合,陰極で水素が発生し,陽極では真ちゅうの中の亜鉛が溶解している。
イ 白金電極を用いた場合は,8個の電池を用いないと変化が認められない。この場合はそれぞれの極から,酸素及び水素が発生している。白金電極の方が電解しにくいのは,亜鉛の溶出と酸素の発生についての酸化電位の違いによるものと考えられる。
(3)デービーの融解電解による新元素発見の経過
イギリスの化学者デービーが,水の電気分解から融解電解を思いつくまでの経過と,融解電解によって,次々に新元素を発見した史実をまとめる。
(4)ファラデーの電気分解の法則の発見の経過
ファラデーが電気分解の法則を発見する以前の電気分解についての当時の問題点をまとめ,ファラデーがどのようにしてそれらの問題点を解決したかを調べる。
当時の主な問題点
1)当時は,電解液の濃度,および電極の大きさと電解される物質の量との関係がはっきりわからなかった。
2)電気量を正確にはかる方法が確立されていなかった。
(5)ファラデーの電気分解の法則の検証
1)準備 合成樹脂のパイプ(内径1.4cm, 長さ50cm),ゴム栓,活栓付ガラス管,白金線,ビーカー,ワニ口クリップ付リード線,電源(自作の改良型ボルタ電池又は直流電源装置),2M硫酸,ホフマンの電解装置,白金ハク電極,ガラス管
2)電量計及び白金線電極の製作
ア ファラデーの電量計を上の図のように製作する。
イ ガラス管を用いて,白金線電極をつくる。
3)電解液の濃さ及び電極の大きさと電解生成量についての検証
ア 実験方法
(ア)電量計及び白金ハク電極をつけたホフマンの電解装置に2M硫酸を入れる。