理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-121/139page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]


5.光合成研究の歴史

1 ねらい

 中学校理科第二分野及び高校理科1では,生態系の生産者である緑色植物に,他の生物のすべてが栄養面で依存していることを学んだ。栄養摂取法のちがいが,動物体の構造・機能・体制にまで影響を及ぼし,植物とは異なった進化の道をたどったことも既習している。
 緑色植物が,無機物から光のエネルギーを用いて,炭水化物を同化していくはたらきやしくみについて,約300年にも及ぶ実験・研究の歴史がある。ここでは光合成に関しての初期の研究を中心にして,そのあゆみをたどらせる。

2 光合成研究のあゆみ

 緑色植物が光合成というはたらきで, CO2 と H2O から炭水化物を合成していることはわかっている。そのしくみが明らかにされるまでの歴史的な過程を,いくつかの段階にわけて考えてみる。
(1)光合成に用いられる物質と生成物 ―植物の栄養源は何か―
(2)光合成における二つの反応系 ―明反応と暗反応―
(3)トレーサーによる光合成の研究
 ここでは3つの段階のうち,(1)と(2)について,その研究のあゆみをたどることにする。

3 光合成の材料と生成物について

(1)水の存在
  動物はその成長過程で,他の動物や植物(草)を食べて育つ。植物も種子が発芽してから,根茎葉をのばして大きくのびていくのだから,動物と同じように何かを食べている筈である。植物が成育している環境から考えれば,それは土と大気にあるとして最初に実験を試みたのが,オランダのファン・ヘルモントであった。

 ヘルモントの実験(1648)
 「私はこの実験から,すべての植物体は直接に,実質的に水のみから生ずることを知った。私は土製の鉢に,乾燥させた土を 200ポンド (90.72kg) 入れ,雨水でしめらせ, 5ポンド (2.27kg) のヤナギの苗を植えた。5年たってそこから生育した木の重さを測定したら 169ポンドと 3オンス(76.79kg)であった。鉢は大部分土の中に埋めておいた。鉢には雨水か,必要な時には蒸留水だけが与えられていた。地面からのほこりが土とまじらないように,鉢のまわりと上の面をスズはくでおおい,そこには水が通れるように,たくさんの穴をあけておいた。私は4回の秋に落ちた葉の重さは測定しなかった。最後に再び鉢の土を乾燥させたら,はじめの 200ポンドから約 2オンス減少していたことがわかった。したがって材・樹皮・根は水からだけできたもので, 169ポンドになったのである」

(問) ヘルモントは,ヤナギが成長したのは,水分の吸収によるものと考え,実験に用いた土の乾燥重量約 2オンスの減少を無視したのは何故だろうか。


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。