理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-128/139page
6.天動説から地動説へ ―ケプラーの法則をたどって―
1 はじめに
古代ギリシャのアリストテレスやプトレオアイオスによる天動説が約2000年にわたり西洋の宇宙に対する観念を規定してきたが,コルペニクスによって地動説へと180゜宇宙観の転換がなされた。一方,ケプラーはコルペニクスの大陽中心説を支持しながらも,チコ・ブラーエの観測資料そのものから惑星の運動に関する完全な法則を導いた。この研究過程は科学史のなかでも画期的な意味をもつもので,ここでは火星の資料を用いてケプラーの行った道程をたどり,ケプラーの法則を実習する。
2 準備
理科年表,分度器,コンパス,定規,グラフ用紙,両対数方眼紙
3 実習
〔実習1〕 火星の見かけの運動を作図する。
火星について,見かけの方向(地球から見た火星の方向),及び地球からの距離を理科年表より調べて,地球が静止しているとしたときの,地球に対する火星の見かけの運動を作図する。
年月日 地球から見た火星の方向 地球からの距離 年月日 地球から見た火星の方向 地球からの 距離 M1 81.11.8 162゜ 17.9〔cm〕 M7 82.4.17 185゜ 6.5〔cm〕 M2 12.14 180゜ 14.7 M8 4.29 183゜ 6.9 M3 82.1.11 191゜ 11.9 M9 5.11 181゜ 7.5 M4 2.16 199゜ 8.6 M10 5.23 181゜ 8.2 M5 2.28 200゜ 7.7 M11 6.4 183゜ 9.0 M6 3.12 199゜ 7.0 M12 7.10 196゜ 10.6 (1)方法
作成の手順
1)グラフ上の地球から任意の方向に線を引き,その方向を春分点(0゜)の方向とする。
2)春分点の方向から反時計まわりに, M1 の場合 162゜測り中心より線を引く。
3)中心より 17.9cm の線上の点を M1 とすると, M1 はその日の火星の位置。
4) 2)と3)を繰り返して M1〜M12 の火星の位置を求める。
(2)結果
それぞれの点をなだらかな曲線でむすぶと,地球から見た火星の見かけ上の道すじが求められる。