理科学習指導資料高等学校「理科2」の指導-129/139page
(3)考察
火星の見かけ上の運動として,1981年2月16日までは順行をつづけ,2月16日から2月28日にかけて停留となり,その後は方向を転じて逆行(西進)を始め,3月12日から4月17日にかけ地球に最も近づき,5月23日ごろ再び留となり,その後は向を変え順行(東進)を開始する。このことが1図より読みとれる。
地球からの距離は理科年表では天文単位で表わされているが,作図では,その数値の1/2にcmを単位として用るとよい。
〔課題研究〕 一般に惑星が逆行するとき,惑星は地球に最も接近するという現象をどのように説明したらよいか図を書いて考えよ。
〔実習2〕 ケプラーの方法に従って,観測値から火星の軌道を作図する。
火星は687日(公転周期)たてば,再び元の位置に戻ってくることから,687日後に再び火星の方向を観測すれば,火星軌道上の一点が求められる。この方法を繰り返すことによって,火星の軌道が作図できる。
位置 太陽から見た地球の方向 地球から見た火星の方向 年月日 位置 太陽から見た地球の方向 地球から見た火星の方向 年月日 M1
11´
93゜ 49゜
78゜ 128゜
75.12.26 77.11.12
M2
12´
144゜ 98゜
198゜ 203゜
82.2.12 83.12.30
表3
位置 太陽から見た火星の方向 太陽と火星の距離(cm) 年月日 位置 太陽から見た火星の方向 太陽と火星の距離(cm) 年月日 M3 3゜ 7 83.2.3 M9 182゜ 8.3 82.3.12 M4 32゜ 7.2 83.3.28 M10 215゜ 7.8 82.5.23 M5 59゜ 7.5 83.5.10 M11 251゜ 7.5 82.8.3 M6 90゜ 7.8 83.7.9 M12 285゜ 7.1 82.10.2 M7 124゜ 8.2 83.9.16 M13 315゜ 6.9 82.11.19 M8 156゜ 8.3 83.11.30 M14 338゜ 6.9 82.12.25 表1の太陽から見た地球の方向は大陽の黄経に180゜加えて求めた値であり,地球から見た火星の方向は,火星の視赤経を角度に換算した値である。
表2の太陽から見た火星の方向は火星の日心黄経の値であり,太陽と火星の距離は1天文単位を5cmとして,それぞれの距離を5倍した値を用いた。