先端技術をとり入れた理科(物理領域)に関する教材・教具-004/47page

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のである。しかも、円筒にするのは、常に学習の論理という軸に向かって向心力をはたらかせようという作用を考えてのことであり、3次元になったために生じる底面積は、学習の場といった基盤の設定にもなってくる。
 2)の階段モデルは、巨視的には状態の変化の階層、すなわち、下段からその上の段に昇らせるには余分のエネルギーが別に必要。つまり、仕事関数が必要であるということ、別にはエンタルピーの問題ともとらえることができよう。また、微視的には、励起エネルギーを持てば上の安定軌道に移ることができるという軌道電子論(ボーアのとびとびのエネルギー論)や、固体電子論でいうバンドの理論でも同様の説明ができる。筆者の小集団分岐型指導は、この考え方に立って行った実践である。俗な言い方をするならば“進級、進学にはそれなりの学習を身につけ、節目・節目には余裕のあるエネルギーをもって、将来の目標へ向ったベクトルにせよ”という事であり、1)と同様に努力と忍耐の美学を説くのである。
 3)は、マネージメントの要素を示し、すっきりした4面体構造で効果の判定を行い易くするのに便利である。ここでは本論の構造を位置づけている。
理科におけるわかる授業の実践と評価

「理科におけるわかる授業の実践と評価」1981.SSE研究会より引用修正

(1)リニアック型学習理論

 生きているということは、育つための最小のエネルギーを保有し、自然や親からのはたらきかけにより、更にエネルギーを内部にとりこんで、次第にそのエネルギーを増大させ、考え、創造し、行動することだと思う。言うなれば、この考えや、創造や、行動は種々の角度から量的に測られる運命を背負っているとも言えよう。それが学習という角度で考えられた場合、学習意欲、学習行動により「知識・技能」や、「発想能力」「状況対応力」「リーダーシップ」などの有為な力となって発現されたとき、初期条件である「育つ力」と「学習の成立」すなわち、「わかる」構造とその過程が見えてくるのである。「生きている」から「生き生きして学ぶ」更には「生き抜く」、そして「生きる」の連続した学習を自らもしたいし、また、生徒たちにもして欲しいと願うのである。
 このような願いを充たすための「学校」は、学習目標に到達させる「加速器」である、というのが筆者の理論設定の趣旨である。
 この教育機関という巨大な加速器は、エネルギーのチャージの大きさにより、その加速方法も変わってくる。初等教育にあっては、リニアック型学習理論が主となるであろうし、初期中等教育にあっては、リニアック型とサイクロトロン型学習理論、次いで後期中等教育にあっては、設定する世界の広がったトリスタン構造にもなるであろう。トリスタンというのは巨大なエネルギーを持つ粒子に成長させ、核融合反応のエネルギー近くにまで高める装置で、国立高エネルギー物理学研究所に建設中のものであるが、粒


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