先端技術をとり入れた理科(物理領域)に関する教材・教具-008/47page

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ある。また、デジタル回路の論理が学習指導の中にかかわってきているのであろうか、評価の際の「できる」「できない」は2進の論理である。学習指導のフローチャートも然りであろう。また、ある問題解決にあたっても、是か否かで、極論が横行し、柔軟な思考ができなくなったとの声もある。しかし、デジタル論理は単純なものの組み合わせにもかかわらず、頭脳に近く複雑なものまでも処理することができる。これは、単純なものも集積化することによって、精密化ができることを意味している。
 つまり、大きな問題を解決するには、まず、小さな問題要素を分析的に引きだして、個々について是否を論じ、綜合的に解決して行く方向を見つけるというのが集積回路の考え方であって、そこに、システム的な価値を見いだすのである。これをしないで、大問題を是・否とすることに誤りがあったのではないだろうか。本来のシステム思考は、新たなものを生みだす思考になり得ると考えるのである。要は、帰納か演えきかの問題ではなかろうか。
 さて、理科教育には、科学技術の進歩に対応し、その知的エネルギーをとり入れ、考え方や方法なども、それに生かしこむ工夫が求められている。その考え方や方法もシステム的であり、そのシステムの中から、新たなものを生み出すことが求められている。
 しかし、理科学習の中に、新しい情報をどのように追加すればよいのかを具体的に述べることは難しい。基本的な科学概念や、自然科学を成立させ進歩させている考え方や、その方法を身につけさせることを重視すれば、先端的な知的情報を追求することは、この理念に対して、一致し難いように思える。
 しかし、現実に身近になった先端技術に触れさせることを怠れば、生徒たちの将来に直結する問題を切り離すことになりかねない。
 そこで、何をねらいとし、ねらいを達成させるためにはどのような実験がよいのかを吟味し、新らしく開発した実験装置によって、探究の過程を通した学習が成立するならば、連続した発想能力も高められるのではないかと考えるのである。

4.教材・教具開発の条件

 実験装置・方法の名作としてテープタイマーを挙げる。
テープタイマーは、科学の探究のありかたを示す例として、数々の長所を備えている。
 運動の記述で、変位、速度、加速度の処理をする中で、微分とは?積分とは?と、ニュートンの思考をすべて再現してくれるからである。精度は悪いが、その欠点を考えに入れても効果的である。
 したがって、開発の条件として、(1)物理学の中の原理や法則を端的に表し、簡便な方法で誰にでもできて、しかも経済的であるもの。
(2)科学の方法としての位置づけを、探究的な学習が成立する段階(観察、実験、測定、記録)までとし、データの分析、処理、分類、比較、推論、予測、モデル形成、などの段階は、思考力、理論構成力の育成を図るために、機械化は望ましくないので注意したいと考えている。便利とか、短時間で終われるからという理由で機械化することは、思考を妨げ、


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