先端技術をとり入れた理科(物理領域)に関する教材・教具-021/47page
ニアリティを改善する。
ここで、記憶素子として0.05uFポリスチレンコンデンサーにはたらいてもらうことになる。
0.05uFに決めた理由は、サンプル時間をなるべく短かくしたいことと、読み出しの時間を考えてのことである。Cが小さければホールドタイムが短かくてすむが、読み出す次段のLH0052に流れこむ電流(1×10-12A)と自然放電のため、若干の設差が生じるのを防いでいる。入力がくり返されるような場合は、客量が小さくてよいし、デジタル計測器やマイコンに導入する場合は、アクセスタイムから0.001uFにしてもよいことになる。
次段のLH0052をバッファとして用い、誤差をなくすためのポジティブフィードバックで改善している。ダイオードは、ナショナルのMA162が逆電流の点で秀れていた。
これを用いて誘動起電力の実験をしてみよう。〔図10〕のOPアンプに、円形の1回巻きコイルを接続し、このコイルの中心に落ちるよう棒磁石をいろいろの高さから落す。そのときの速さで、誘導起電力の大きさがこの装置により記録される。
落下の実験としても取り扱えるし、また、電磁誘導と誘導起電力
V=−dΦ/dt についての実験としても取り扱える。
また、波の実験やその他過渡現象等も調べることができるので、教材開発の可能性が大きいものと考える。
8.波動実験用オシレーター(小・中・高)
〔図18〕の、インターシルのモジールOPアンプICL8038は、1チップで正弦波、三角波、矩形波が出せるという便利なものである。デジタル回路のテストや、広範囲な実験に利用できるので作っておきたいものの一つである。
正弦波は、音や波動や電気の実験に使用でき、三角波や矩形波は、微分や積分の演算回路の実験や、マイコンなどの実験に利用できる。
若干、正弦波のピークのところでとがるので、波形調整はシンクロスコープを見て、ていねいにすると、よい結果が得られる。
〔図18〕