先端技術をとり入れた理科(物理領域)に関する教材・教具-027/47page
θが大きくなると傾きが急になるだろう。角度θが小さい時、斜面と球の間の摩擦と、金属球の慣性モーメントがかかわり、加速度が理論値より小さい。角度が大きくなれば理論値に近くなる。角度が90゜に近いところのgraphの接線の傾きから計算処理をすると、次のようになる。
初速度を0としたとき、
x=1/2・(g sinθ)t2
∴g=2x/t2・1/sinθ
θ=90゜のとき sinθ=1
△sinθを1としたときの傾き2x/t2はgの値となることから、gの値を求めることができる。
この方法は、歴史的にも重要で、ガリレオの考え方を近代化したものと、筆者は自負している。しかも、これを講座においでになった先生方に実験していただいたところ、満足のできる結果が得られたので、筆者として非常に嬉しかった。諸先生もお試しいただき、生徒の歴史に対する理解と、更に発展させる意欲を湧き立たせていただきたいと願っている。
2)重力の加速度
自由落下の運動は、1)と同様にスタート、ストップ接点を用いて測定装置をコントロールし、測定すればよいのであるが、スタート接点の摩擦が測定誤差として表れるので、注意しなければならない。それを防ぐ方法は種々考えられる。
一つは、磁気リードスイッチを用いる方法である。これは、細いガラス管の中に、磁性体を組み合せた接点を封入したスイッチで、磁石が近づくとスイッチが閉じるようになっている。
〔図6〕
これを用いて実験した場合、磁石は空気の影響だけで、問題がないように見えるが、磁石が通過する瞬間とスイッチングの時刻の間に遅れが生じる。筆者の実験では、1/100の桁(digit)の値に影響があった。スイッチをダイレクトで用いる方が精度がよいという結果になるのである。
二番目として、光電素子をとり上げよう。
CdS光電素子は、100円で手に入り、教具として手頃である。小学校の教具としても適切である。それは、テスタのR×100Ωレンジにして、二本の線をテスタ・リードにつけ、光を入れると抵抗が変化する。抵抗素子なので正負の極性もなく、扱い易い。照度と抵抗値は比例しないが、照