平成9年度学力到達度調査研究-013/62page
このような場合は,「だれが,ぶつかっていったのですか。」,「だれが,なぐりつけたのですか。」と発問することで,文の意味が明確になり,残雪の行動を順を追ってとらえることができる。主人公の行動を確認する場合に,主語の省略された文については,述語をもとに主語を確かめる発問を工夫すると,文の中における主語と述語の関係を意識させることができる。
いきなり、敵にぶつかっていきました。そして、あの大きな羽で力いぱい相手をなぐりつけました。
「大造じいさんとガン」(光村図書 五下)
○ 主述関係と修飾・被修飾関係を明確に区別させよう
修飾語は,第3学年で学習する。ここで最も基本的なことは,事柄を表す言葉(体言)とそれを修飾する(連体的な)言葉との関係,動作や存在や様子などを示す言葉(用言)とそれらを修飾する(連用的な)言葉との関係をはっきり意識させることである。しかし,連用的な修飾の関係は,述語を修飾することもあり,主述の関係と混同しやすいと考えられる。そこで,第5学年で学習する「文の中での係り方」の指導の中で,主述関係と修飾・被修飾関係を以下のような文例を用いて同時に学習させることなどにより,それぞれの関係の違いを明確に意識させる工夫が必要である。
赤い 大きな 花が いっぺんに たくさん さきました。
2) 「書いた文の見直しと叙述の工夫」の指導
ア 小問例 ( )内の数字は全国比。平成7年度,平成9年度の順。
次の文の中から,漢字の使い方がまちがっている文を二つ選び,その記号を書きなさい。
ア 成積が上がる。(94,88)
イ 始末にこまる。
ウ 道路標識に注意する。
工 効果的に使う。
オ 保険室に行く。(105,102)
イ 考察
小間の全国比から,自分の書いた文章を読み返して間違いなどを直す力が不足していることがうかがえる。「積」と「績」は,同音で字形が類似しているため発見しにくい漢字である。
【資料2】から分かるように,漢字の書きについて,「成積」のように「音だけ合っている字」を書く間違いが多いこと,「同音異義語・同訓異字」の漢字について誤答が多いことが明らかになった。このことから,「書いた文の見直しと叙述の工夫」の指導では,漢字の読み書きに関する力を高める指導と関連させながら,自分の書いた文章を