平成9年度学力到達度調査研究-033/62page

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をするかが理解できていないことによると考えられる。そこでまず,身近な例を通して生徒の文法学習への抵抗感を取り除く工夫をし,文法学習の必要性と有効性を生徒自身に気づかせる必要がある。例えば,導入の段階で次のような例文を示し,2つの例文の間にどのような違いがあるのかを考えさせ,その違いはどこから生まれるのかを調べさせるという方法がある。

土手の桜は,もうすぐ咲きそうだ。

土手の桜は,もうすぐ咲くそうだ。

かな文字の一つの違いによって動詞の活用形が異なり,接続する助動詞の意味・用法も異なり,文章全体の意味が異なってくることに気づかせ,興味を持たせていくのである。このような文例をカードに書かせ,その数を増やしながら授業の中で随時活用させるようにしたい。

また,文法用語の意味の理解を定着させるために,次の例のように「活用形」や「活用の種類」などを意識させた短文を書かせ,生徒相互に話し合わせて発表させるなどの作業を入れると,より効果的である。

例 「言う」の連用形と上一段動詞の終止形をともに用いて短文を作りなさい。

2) 「語句についての知識・理解」の指導

ア 小問例 ( )内の数字は全国比。平成7年度,平成9年度の順。

次の漢字の部首名をア〜力の中から選びなさい。

1 郊 (74,76)

2 店 (97,91)

3 補 (98,88)

ア しめすへん イ こざとへん ウ ころもへん

エ おおざと  オ まだれ   力 がんだれ 

イ 考察

小問例から,生徒は,漢字の組み立てについての理解が不足していることがわかる。

また,今回の調査で,漢字の読み書きに関して全国比が90未満の漢字が,小間の半数以上を占めることが分かった。【資料3】によると,漢字の書きについては,「既成」を「機成」と書いて「音だけ合っている字」にしたり,「同音異義語」や「部首が異なる漢字」を書いたりしており,つまずきが大きいことが分かった。また,その他の設問から,日常使っている漢字を書くことについても,漢字を読むことに比べ定着が十分でないことも分かった。漢字を読むことはできるが,その漢字を使用するまでの段階に到っていないと考えられる。


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