平成9年度学力到達度調査研究-035/62page
少ないと考えられる。
そこで,新しい単元に入る前に【資料4】のような漢字カードを準備し,「文」や「語句」を調べさせ,たくさんの用例に出会わせる工夫をしたい。教室にある掲示コーナーを使ってこれらのカードを掲示し生徒の興味・関心を高めたい。学習後には,その中でも意味の上から,また,類義語や対義語の観点や文章理解の観点などから,重要と考えられる漢字を取り上げるようにしたい。「懐」を例にとれば,「懐中時計」を教科書で学習した後,「懐古」,「懐柔」といった用例を取り上げ意味を調べたり,これらの言葉を用いて短文を作ったりする活動を工夫したい。
○ 作文指導の場に漢字指導を位置づけよう
作文の時間では,推敲や相互批正の場面で,辞書などを活用し漢字指導を行うと効果的である。作文を完成させた後,初めて使った漢字,辞書で確かめた漢字などについて生徒自身が印をつけ,互いに作文を読み合う活動を通して,漢字を使用することのよさに気づかせたい。
また,楽しく学習するためのアイデアとして,パズル的・クイズ的手法を取り入れた方法や,【資料5】のように単元終了後の学習のまとめの段階で,その都度該当単元で出てきた漢字を使って短文を作らせる方法もある。グループごとに使用した漢字の数を競ったり,「ベスト短文賞」などを設け互いに鑑賞し合ったりなどして,漢字を楽しんで使えるように配慮したい。
【資料5】
次の漢字を二つか三つ使って、できるだけたくさんの短文を作ってみよう。
満塁 玄米 回転扉 戻る 征服 雰囲気 免許 浸水 芋 泥水
例 芋を洗ったバケツには泥水が残った。
「平和への願い」(光村図書 二年)より抜粋
《参考文献》
北川茂治編著 「中学校教育課程講座」 ぎょうせい (1988) 本堂寛・小森茂編 「新しい漢字指導の計画と展開」 明治図書 (1990) 北田忠 「新しい常用国語」 教育図書出版 (1992) 市毛勝雄・須田実・野口芳宏編 「楽しい国語授業アイデア集成/楽しい漢字の指導」 明治図書 (1997) 森山卓郎・加藤久雄編 「文法指導の方法」 光村図書 (1997)