平成9年度学力到達度調査研究-058/62page
○ ディクテーションの進め方を工夫しよう
ディクテーションは音声と文字を統合させる活動として有効である。教科書で既習の英文を使うと取り組みやすい。また,答え合わせの前に,自分で答をチェックする段階を設けて見直す能力を高めたい。その際,「文脈に合っているか」,「語句の使い方や文型は正しいか」,「綴りや符号は正しいか」などの視点から見直させるとよい。
【例1】
(1) できるだけ自然なスピードの英語を,内容把握に集中して1回聞く。
(2) 1回目と同じ英語を聞き,書き取る。聞き取れない英語があっても,途中で立ち止まらない。
(3) これまで聞き取れなかったところに焦点を合わせて聞く。
(4) 答えを書き,自分で見直す。
(5) 書いた英文を見ながら聞く。間違いがあれば直し,答え合わせをする。
※ 生徒の力に配慮して,解答用紙を工夫するとよい。
【例2】
(1) 下の例のような既習で理解ができている文章(前の学年の教科書の本文等)を事前に繰り返し音読したり,書いたりして練習する。
(2) 指導に当たっては,教師は文章を最初から読んでいき任意の場所で読むのを止める。生徒は教師が読んだ最後の1文を書き取る。
(3) 答えを自分で見直した後,答え合わせをする。教師がチェックしてもよい。
(教師が/で読むのを止めたとすると,生徒は下線部の文を書き取る。)
(英文例) I came from Canada to study Japanese culture. I think Japan is much like a Western country. Japan must remember that it is part of Asia./
○ 段階を分けて取り組みやすく工夫しよう
英文で自分の思いを表現する指導に当たっては,書くことへの抵抗感を減らすため,生徒が選択できるように段階をいくつかに分けるなど,生徒の力に応じた配慮がほしい。例えば,自己紹介の文を書かせる活動では,下のようにいくつかの段階を設け,少しずつ達成感を持たせながら活動を進めるとよい。ひととおり書き終えたら,自分の英文を見直させ,よりよい表現を求める態度を養いたい。
また,原稿を覚えて発表すると,「話すこと」との関連を図ることができる。
ステップ1 教科書の自己紹介についての本文などの,一部の単語を書き換える。
ステップ2 英文の骨組み(主語+動詞などの語順)を自分で考えて書く。
ステップ3 次のような条件に合わせて書く。「自己紹介の文を,1)名前,2)一番好きな教科,3)好きなもの,4)友達のことなどを含めて書きなさい。」
ステップ4 テーマに従って,内容を生徒自身で考えて書く。
《参考文献》
中学校外国語指導資料 「コミュニケーションを目指した英語の指導と評価」 文部省 (1993) 巽俊二 「新人教師のための英語指導ABC」『英語教育』 (1995・8月,1995・10月,1996・12月) 大内由香里 「話すことに力を入れた授業」『楽しい英語授業』 明治図書 (1996・1月) 長勝彦編著 「英語教師の知恵袋上巻」 開隆堂 (1997)