実践のための学校教育相談ハンドブック-003/083page
促すことを基軸に,発達的・予防的な指導援助を,問題解決的(治療的)な指導援助にも増して,積極的に機能させていくことが必要だからです。
このようなことから,今後は,広義の教育相談の認識を定着させ,組織として統合された運営の在り方を確立していくことが不可欠と言えます。
そこで,これからの学校における教育相談にっいては,次のようなとらえ方が大切になります。
学校教育相談とは,児童生徒の学習面(学び方を含む),生活面(適応を含む),進路面(生き方を含む)の課題や問題等に対して,情緒的(受容・共感)のみならず,情報的(知識・情報の提供),評価的(よい・だめの明示),方法的(対処の仕方の提示)な面でのガイダンスの機能を充実させ,
@ すべての児童生徒への発達的なかかわり,
A 一部の児童生徒への予防的なかかわり,
B 特定の児童生徒への問題解決的(治療的)なかかわり
によって,一人一人が社会的な自己実現ができるように,学校生活のあらゆる場面において,組織的・計画的に行われる指導援助活動である。具体的な内容としては,すべての児童生徒に声を掛け,思いを受容し支援することはもちろん,共感性,自尊感情を育てるグループワークや人間関係をつくる力をはぐくむ,ソーシャルスキル等の実践が考えられます。また,児童生徒の普段と違ったしぐさに敏感に気付き,問題の兆しには,初期対応を迅速に行い,さらには,問題行動出現の児童生徒には,校内や関係機関等との適切な連携を図り,専門的な助言指導のもとでかかわることが考えられます。その前提には,児童生徒と共に在る教師の,次のような日頃の姿勢が何よりも,まず求められます。
・子供の心を理解し,夢や希望を抱かせる。…(Dreaming)
・子供の心をいたわり,思いやる。…(Caring)
・子供の病んでいる心を癒す。…(Healing)