実践のための学校教育相談ハンドブック-004/083page
U 学校教育相談の基本
1 教育相談の基本は 児童生徒にとって学校生活の大部分は授業で占められています。一時間一時間の授業において「自分がそこで学んでいる」という実感が持て,わかる喜び,できる喜びなど,成就感や達成感が得られる場であってこそ,学校生活は有意義で充実したものとなります。
ややもすると,「教育相談は授業とは全く別なもの」と思われがちですが,実は,教育相談の考え方を生かして行われる『よい授業こそが最大の教育相談』であると言えるのです。学級経営における教育相談は,教師と児童生徒のよりよい人間関係が土台となって具体化されます。これは,児童生徒が学校生活の一日の多くを過ごす学級が,安心して生活できる場所であることを前提としているからです。
よりよい人間関係づくりのためには,日ごろから教師が目の前にいる児童生徒の気持ちを大切にし,積極的にふれあい,肯定的な見方に心がけることです。そのためには,教師自身が自分の心を開き,ありのままの姿で接し,児童生徒の長所を認めていこうとする姿勢が求められます。
ところで『児童生徒理解』では,児童生徒の様子や話に心を傾け,見たり聴いたりすることが求められます。例えば問題行動を繰り返す児童生徒にあっては,現象面(行動)だけにとらわれるのでなく,なぜ繰り返すのかという,その裏側にある気持ちや考え(内面)を理解することです。
このことによって,ただ説諭だけの指導から,裏側にある気持ちや考え(内面)を含めての指導に結び付けることができます。このように「理解」は,それに続く具体的な「指導」に結び付くものです。そうした教師の「理解」を児童生徒に返してやることは,児童生徒の自己理解を深め,行動の変容を促すことにもなっていきます。