実践のための学校教育相談ハンドブック-009/083page
A 面接の流れと深まり
まず,児童生徒の話に耳を傾け受容することです。十分に気持ちを受け止め,感情を込めて繰り返したり支持したりすることで,信頼関係が深まってきます。その中で,感情を明確化したり,児童生徒の話が一段落した時に,それまで聴いたことを要約して返したりします。沈黙があることも面接の流れの一つです。話を聴いてもらえたことで気持ちが落ち着き,児童生徒は自分自身を理解し,自己洞察を深め,自らの力で行動を変容させていきます。児童生徒を本気で理解しようとする面接には,結果として技法が後からついてきます。はじめから,技法にとらわれるのでなく,まずは,児童生徒との「理解し合える人間関係」をつくることが大切です。
B 校内における秘密保持の在り方
児童生徒が教師に心を開く,あるいは悩みを打ち明けることは重大なことです。お互いの信頼関係のためにも,秘密保持を厳守し徹底する必要があります。これを基本として,校内全体でかかわらなければならない場合には,組織として秘密を保持することが必要です。
相談を受けた教師だけが悩みを引き受け,抱え込むのではなく,学年や部(係)など組織として対応を考えていくことが大切になります。校内における秘密保持の在り方では,日ごろからその範囲や内容について具体的に共通理解を図っておくことが求められます。C 危機的場面における対応(危機介入)
自殺など生命の危機が迫っている場合や,他人に危害を加える可能性がある場合,あるいは情緒的な混乱状態にあって,緊急な対応を迫られる場合があります。その際は,個人の判断ではなく,組織を生かし,限られた時間の中で的確な判断をすることが求められます。また,学校だけでなく,関係機関(例えば医療機関や警察,児童相談所等)と連携しての早急な対応が求められることもあります。